【甲子園2023夏】慶應高が107年ぶり優勝。~107年前、大正5年のこと
慶応(神奈川)が仙台育英(宮城)に勝利し107年ぶりの優勝を決めた。(決勝/8月23日)慶應義塾 210 050 000 =8仙台育英 011 000 000 =2(慶)鈴木-小宅、(仙)湯田-高橋-田中 今大会を通じて一躍「時の人」になった慶應・森林貴彦監督は、勝利後のインタビューでこう話した。「エンジョイベースボール」を掲げてきた慶応野球部。「うちがこう優勝することで、高校野球の新たな可能性とか多様性とか、そういったものを何か示せればいいなと。日本一を目指して、常識を覆すっていう目的に向けて頑張ってきたので、うちの優勝から新しい人が生まれてくることがあれば、それは本当にうれしいと思いますし、高校野球の新しい姿につながるような勝利だったんじゃないかなと思います」と。 これまで100年以上続いている選手権大会。この大会が、高校野球の新たな世界へ向けた分岐点となるのだろうと思った。ただ決勝戦の録画をゆっくりと見たが、以来、ボクの頭の中でずっと「若き血」が反響しているのは困ったことだ(苦笑)。 さて、前回慶應高(当時:慶應普通部)が優勝したのは、今から107年前の大正5年のことだった。場所は甲子園ではなく豊中グラウンド。全国12代表が参加した。(決勝)市岡中 000 200 000 =2慶應普 005 100 00X =6(市)富永、(慶)山口 市岡中は、松本投手と富永捕手が本来のバッテリー。しかし準決勝で松本が右肩を痛めたため、急きょ富永が先発するも失点を重ねた。対する慶應の主将にしてエースの山口昇は、抜群の制球力で被安打3、奪三振11の完投勝利、チームを優勝に導いた。この山口、実は中学生ながら慶應大の試合にも出ていた猛者。一方、市岡中のコーチに、のちに高野連会長となる佐伯達夫がいた。 少々話は逸れるが、豊中グラウンドは球場ではなかった。一周400メートルのトラックのある運動場で、外野にフェンスがあるはずもなく、ホームから100メートルほどのところにロープを張っただけのお粗末なものだった。