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近代日本文学史メジャーのマイナー

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analog純文

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2009.07.12
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 娘は柿が好きです。女房も柿が好きです。女房は「お光さん」のような田舎の子です。
 下記にありますが、『三四郎』の広田先生は、桃を食べながら、桃は仙人めいていると言っていますが、柿もなかなか負けていないようなヘンな果物ですね。

 桃は、仙人なんて語が出てくるように、中国っぽいところがありますが、柿は純日本という感じがしますね。柿って、確か、日本産じゃなかったですかね。

 とにかく、秋の果物として柿が最も俳句になるような気がするのは、子規のおかげだけでもないと思うんですが、どうでしょうか。

 さて漱石作品についての刺激的な文芸評論を二冊続けて読んで、やっと当作品に辿り着きました。

  『三四郎』夏目漱石(新潮文庫)

 久しぶりの『三四郎』です。
 『三四郎』は、漱石作品の中で、僕が最も好きな小説の一つです。多分今までに10回くらいは読んでいると思います。
 今回また再読して、僕自身が年を取ってきたこともあってか、とっても「哀愁」っぽく読んでしまいました。
 まぁ、「帰らざる青春の日々」といった、かなり安っぽい感傷であります。

 しかし、今回の『三四郎』読書のテーマは、丸谷氏並びに石原氏の文芸評論に書いてあったような「読み」が、実際に可能かどうかの検証なんですね。
 特にポイントは、石原氏の「読み」の検証。
 それは、おおざっぱに言って、こういうことでした。

 三四郎が東京に出てくる前に、野々宮と美禰子の間には恋愛感情があったが、三四郎が現れるほんの少し前に急速に二人の愛情は冷めてしまった。
 美禰子にやや慎みが欠け、そのことによって野々宮は振り回されていたのだが、とうとう二人の中を清算するに至った。そして9月、三四郎は大学に入学してくる。
 美禰子は、三四郎に対して恋愛感情など、全く持っていなかった。

 と、まぁ、こんな読みですね。
 こんな読みが、本当に『三四郎』の原文から読めるのだろうかということです。
 かつて僕は、ある国文学のえらい先生から、作品解釈というのは、とりあえず辻褄が合えばいいのだ、積極的にこれ以外の読み方はないのだというところまで持っていく必要はない、と教えられました。
 読もうと思えばこうも読めますねというところまででいいという考え方ですね。

 そして、この流儀で読むと、石原氏の上記の読みは可能です。
 そもそも、ほのめかし程度のことしか三四郎と美禰子の関係については書かれていないのですから。

 もしちょっとだけ首を傾げるところがあるとすれば、与次郎が馬券を買ってなくしたお金を、三四郎が美禰子に貸してもらいに行ったときに、美禰子が、三四郎が馬券を買ったのだと勘違いをして言うせりふ。

 「馬券で当てるのは、人の心を当てるよりむずかしいじゃありませんか。あなたは索引の付いている人の心さえ当ててみようとなさらないのんきな方だのに」
 という、この部分ですかね。

 「索引の付いている人の心さえ当ててみようとなさらない」というところは、三四郎への思いというものがないとしたら、ちょっとわかりにくい部分ですね。

 でも上記の言葉は、本文中では、さらりと出てきて、その先引っかかる部分を全く持たないんですね。これって、美禰子の愛情告白じゃなかったんですかね。

 今まではそうだとばかり僕は読んでいたのですが、こんな風に改めて読んでみると、だんだんわかんなくなってきましたね。
 どう思われますか。どうです、『三四郎』「再読」してみませんか。

 ということで、次は当然『それから』になります。
 「乞うご期待」と、言い切る自信は私には全くないぞ。(自慢すんなよー。)
 
 では今回はここまで。

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Last updated  2009.07.12 07:37:20
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