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カテゴリ:昭和期・後半男性
『終りなき祝祭』辻井喬(新潮文庫) 本作を読む前にこんな小説を読みました。 『四季』中村真一郎(新潮文庫) 筆者は「戦後派」作家のお一人ですね。 「戦後派」の人々は、今まで敬遠してきたという罪悪感もあって、僕は、これからは積極的に読んでいきたいと思っているんですが、いかんせん、時々こんな本にぶつかりますからねー。 というのは、この本、とっても面白くないんです。 うーん、この言い方は語弊がありますが、よーするに、「難しい」んですね。 難しい。誠実に丁寧にそして、文学的野心を持って書き込んでいますから、この「戦後派」って方々は。 で、結果として、とっても難しい話になってしまいます。 この話は、初老の男二人が、青春時代を思い出して、かつて青春を謳歌した地、軽井沢に2泊3日で行くというだけの話ですが、なんともなんとも、なんとーーーも、とっても難しいんです。 読みながら、何度も、頭の中がぐちゃぐちゃになりそうになりました。 描写に真っ当なのが、あまりありません。明らかに、ジョイスとかプルーストの影響が見えそうです。 文体がまた、なんというか、彫心鏤骨というべきか、うーん、難しいです。 というわけで、とても辛い読書でした。350ページほどもある本です。仕事が結構閑な時でなかったら、とっても読みきれる本ではありませんでした。 「戦後派」には時々こんな「魔物」のような作品がありますから、油断ができません。 そんな本でした。 で、次に、今回の報告で取り上げる冒頭の小説を読んだんですね。 この作家は、ご存じですか、詩集なんかも出してはる人です。現代詩壇の重鎮です。 本名が、堤清二。 この方面のことは僕は何も知らないんですが、この人は西武・セゾングループの元社長(え? 違うの? 本当にこの方面の事、わたくし何も知らないんですけどー。)ですね。 ただ、実は私、この人については、まー、ちょっと前から何となく興味はありました。敏腕の経済人がどんな小説を書くのか、という興味ですね。 かつて、実学を続けつつ作家としても名を成すという人は、もちろんいないことはありません。それを実学というかどうかは判断しかねますが、軍人である森鴎外なんかはそんな典型でしょうか。 政治家で文学者という方々もいますよね。西洋では何と言ってもゲーテですか。 でも東京都知事の石原慎太郎氏は、個人的にもう一つ私の好みではないので、僕の中ではこの中に入りません。 (先日石原氏の本を読んだら、やはりとても上手な事に気が付きました。いずれ、本ブログでも報告するかも知れません。) はて、商人アンド冒険家、そして詩人のランボーはこの範疇にはいるのかしら。 まー、そんな大物はとりあえず置くと、実業家でかつ文学活動をしていた人として、例えば大正から昭和の初め頃に活動期を持つ水上滝太郎という人がいます。この人は明治生命の会社員であると同時に小説家・劇作家です。 こういうのって、なんか、かっこいいですよね。 そんな興味で、辻井喬氏の小説を初めて読みました。 で、報告ですが、うーん、なんというか、「手堅い」という印象ですかねー。 この手堅さが、経済人故であるからかどうかはわかりませんが、きっちりまとめている、という感じです。結構長い小説です。470ページもあります。 内容は、モデル小説ですかね。解説によりますと、陶芸家・富本健吉と、その妻で婦人解放運動家の一枝、そしてその息子で映画監督の富本壮吉の三人の生涯を描いた本です。それらを通して、大正から昭和の日本を描くという形ですね。 この本の前に、冒頭で紹介した中村真一郎の小説を読んでいたからでしょうか、なんかこの本全体が、すごく「地味」なんですよね。 あるいはひょっとしたらこの「地味」さこそが、「二足のわらじ」である作者の特徴なのかも知れません。 中村真一郎などはストーリー、文体、共に、自信たっぷりにあれこれ実験・冒険をしています。こういうのは「プロのわざ」です。 一方この作品は、手堅くきっちりと一歩一歩進んでいくようにして書かれた小説ではありました。決して面白くないと言うわけではありません。 でも同時に、何かもの足りないような感じがするのも事実です。 いえ、もう少し別の作品を読まねば、そうは言い切れませんね。 いずれまた、同作家の別の作品を読んでみることにします。 よろしければ、こちら別館でお休み下さい。↓ 俳句徒然自句自解+目指せ文化的週末 にほんブログ村 /font> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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