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カテゴリ:明治期・耽美主義
『吉野葛・蘆刈』谷崎潤一郎(岩波文庫) いえ、素人なもので、いい加減な知識しかないんですがね、クラシック音楽が結構好きなもので、そんな本なんかも時々読みます。 そんな中に書いてあった事ですが、19世紀の初め、ベートーヴェンは、後に小説家のロマン・ロランが「傑作の森」といった、中期の充実した一連の作品群を発表し始めます。それは、今見ても目を見張るような、まさに「傑作の森」であります。 主だった作品を挙げてみると、こんな具合です。 1806年 (36歳) ピアノ協奏曲第4番 弦楽四重奏曲第7番『ラズモフスキー第1番』 弦楽四重奏曲第8番『ラズモフスキー第2番』 弦楽四重奏曲第9番『ラズモフスキー第3番』 交響曲第4番 ヴァイオリン協奏曲 1808年 (38歳) 交響曲第5番『運命』 交響曲第6番『田園』 1809年 (39歳) ピアノ協奏曲第5番『皇帝』 弦楽四重奏曲第10番『ハープ』 1806年の充実ぶりにも驚かされますが、08年の交響曲第5番第6番のほぼ同時完成にも圧倒されてしまいますよねー。 うーん、天才っちゅうのは、全く、何をしでかすか分からないものですなー。 なぜこんな話から書き始めたと申しますと、実は、谷崎潤一郎が冒頭の作品を書いていたその前後の時期こそが、まさに谷崎にとっての「傑作の森」の時期じゃないかと、今回この作品を読みながら僕がふと連想したと言う事なんです。 いえ、この年譜を見ていただければ、僕の連想があながち荒唐無稽なものでない事が、充分におわかりいただけると思います。こんな具合です。 1924年(T13) (39歳) 『痴人の愛』 --------------------------------- 1928年(S3) (43歳) 『卍』『蓼喰ふ虫』 1930年(S5) (45歳) 『乱菊物語』 (千代譲渡) 1931年(S6) (46歳) 『吉野葛』『盲目物語』 (丁未子と結婚) 1932年(S7) (47歳) 『蘆刈』 1933年(S8) (48歳) 『春琴抄』 (丁未子と別居) 1934年(S9) (49歳) (松子と同棲・丁未子と離婚) 1935年(S10) (50歳) 『聞書抄』 (松子と結婚) どうです。この年譜だって、ベートーヴェンに決して劣らない充実ぶりでしょう。 そして、この充実を産み出した原因が、右端に書いておいた、谷崎の女性問題の混乱の果ての「ミューズ=松子夫人の獲得」であった事は、私がことさら述べるまでもありません。 さて今回の読書報告は、天才作『春琴抄』に一歩ずつ近づいていく谷崎の、実にどっしりとした、自信に溢れた二作品であります。 まずは『吉野葛』について、少し考えてみたいと思います。 半世紀以上に亘って、死ぬまで女性への憧憬を描いてきた谷崎には、その全生涯を通じて二系列の女性への憧憬があるといわれています。 (1)「母恋い」 (2)拝跪対象たる高貴な女性 のふたつですね。 主に(2)のほうが谷崎作品としては有名ですが、(1)系列の作品にも、初期からなかなか優れた作品があります。 40歳を越えて、まさに脂の乗りかけてきた谷崎は、千載一遇の奇蹟のような「ミューズ」に出会う事から、この二系列の女性像を一つにしてみようと企てたんですね。 うーん、天才っちゅうのは、全く、何をしでかすか分からないものですなー。 この項、次回に続きます。 よろしければ、こちら別館でお休み下さい。↓ 俳句徒然自句自解+目指せ文化的週末 にほんブログ村 /font> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2009.11.05 06:31:50
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