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2015.09.06
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カテゴリ:昭和期・後半

  『村上さんのところ』村上春樹(新潮社)

 ……えっと、これはアリなのか、という気は、まぁ、自分でもしとりますがー。

 改めて記すまでもなく我がブログのコンセプトは(と振り返ってみれば、それについても長く記していないことに気づくのですが)、高等学校で学ぶ近代日本文学史教科書に取り上げられているレベルとジャンル(ジャンルというのは、ぶっちゃけて申しますと「純文学」というカビの生えたような言葉のことですが)の小説家の作品を(そんなメジャーな小説家の、できたらマイナーな作品を)、もっぱらの報告対象とすると、まぁ、自分で勝手に決めて、そして始めたんですね。

 ところがその範囲が、いつの間にかずるずるとパンツのゴムの如く伸び広がって、とうとう今回は人生相談であります。
 ……ははは。……まぁ、いいか。

 というわけで人生相談、というか他人の相談事というものは、特に調べたわけではありませんがたぶん古今東西、けっこう人々が見聞きしたがるものでありましょうなぁ。

 私が知っている範囲で思い出しても、古くはラジオで人生相談をする番組がありました。子供専用の相談番組なんかもありましたね。わりと人気だったように思います。
 活字で思い出しても、いろんな週刊誌や新聞なんかが人生相談のページを作っていたと思い出しますし(確か『少年マガジン』にもあったのじゃなかったかしら)、わたくし、最近の雑誌については全くと言っていいほど何も知らないんですが、今でもそうなんじゃないんですか? 違うのかな?
 そして、そんな連載がそのまま本になったりなんかしました。

 私がかつて、結構読んでいたのは中島らもの人生相談でしたね。
 『明るい悩み相談室』のシリーズであります。
 振り返ってみれば、あれは、何がそんなにおもしろかったのでしょうね。

 ごそごそと本棚を探しましたらありました。
 ぱらぱらとページを紐解いたのですが、なるほどね、韜晦・虚構・無意味、みたいな言葉でまとめられそうな人生相談であります。
 なるほど、人生相談も進化しているのか、と。
 そして、その進化した人生相談の一角を現在担っているのが村上春樹であるのか、と。

 現在における進化した人生相談人気(そんなものがあるとしてですが)の秘密は、昔から言われている「他人の不幸は蜜の味」をソフィスティケートしたものに加え(昔の人生相談ははるかにストレートでしたよね)、人生の虚構化・無意味化のフィクション性にある、と。

 でもよく読んでいけば、ふーむ、と考え込むようなことが、やはり書いてあります。
 例えば、妊娠5か月の検診に行った時、医者からお腹の胎児がすでに死んでいる事を告げられたという女性への回答に村上春樹はこんな風に書いています。

 お気の毒です。とても悲しかったと思います。どうかその悲しみを抱えて生きていってください。それも生きる大事な意味のひとつだと僕は思います。「悲しいことは早く忘れた方がいいよ」と言う人もいるでしょうが、悲しみを忘れないこともやはり大事です。もしよかったら、まだ読んでいなかったら、僕の『国境の南、太陽の西』という小説を読んでみてください。ひょっとして、あなたの気持ちに通じるものが少しはあるかもしれません。

 この回答からは、村上春樹の作品理解に対して、私は二つのことがサジェストされていると思いました。
 一つは悲しみを抱えて生きることを村上春樹がかなり重要なことだと考えていること(同種の表現がこの人生相談回答集の中には何回か出てきます)、もう一つは『国境の南、太陽の西』の自己解説の一端であります。

 こんな風に読んでいくと、結構面白いです。
 以前、村上春樹作品の研究をしている大学の先生の講演を聞いたことがあるんですが、村上春樹のこの種の本は(何冊か同様の本が出版されていますよね)、村上春樹研究家にとっては宝の山の様なものですという趣旨のことをおっしゃっていました。
 研究者もなかなか大変そうですし、研究される側も、なかなかなかなか、大変そうですね。

 参考までに、上記に触れた中島らもと村上春樹は、他にどんな接点があるのか、わたしはよく存じ上げないんですが(村上春樹と糸井重里なら、以前一緒にショートショートの本を作っていらっしゃいましたね)、ふっと思い出して本棚を探したら、ありました。
 中島らもの『啓蒙かまぼこ新聞』(ビレッジプレス)という30年近く前の本の解説を、若き日の村上春樹が書いていました。
 なるほど。


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Last updated  2015.09.06 16:09:46
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