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2017.04.02
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  『漱石はどう読まれてきたか』石原千秋(新潮選書)

 少し前にも話題にしたように思いますが、ここんところたまたま図書カードを何枚かいただくことがありました。
 そもそもここ数年の私の貧しい蔵書は、全国展開の古本チェーン店舗で買うか、ネットのショッピングモールで何点かポイントが貯まったから買うかの、ほぼどちらかでした。つまり新刊書を正規の値段で買うということがほとんどないという、本屋さんの顰蹙を一手に買うような蔵書入手形態でありました。

 だから今回、久しぶりに何冊かの本をまとめて書店のレジに持って行ったのはまるで「豪遊」したようで、小心者のわたくしは少しドキドキしたのでありました。
 そんな風にして買った本です。以前書店で見つけた時にちょっと欲しいなと思いながら、ちょっと我慢した本です。

 さてそんな本書のトータルな内容は、まさにタイトルそのままですが、構成は三部形式になっています。こんな感じ。

  第一章 同時代評とその後の漱石論
  第二章 単行本から読む漱石
  第三章 いま漱石文学はどう読まれているか


 とっても見通しがいいですね。こう書いただけで、本書の紹介が終わってしまいそうです。でもちょっとだけ、蛇足のように屋上屋を架すように続けていきます。

 三つのパートに分かれてはいるのですが、筆者が一番頑張って書いていらっしゃるのは第三章です。分量も、アンバランスにも全体の3分の2くらいあります。
 でも第一章の、同時代評を取り上げた部分もとても面白かったです。メインの第三章に入る前に、ちょっとだけ触れておきますね。

 どんなところが面白かったかといいますと、例えば、漱石作品を少し頑張って何冊か読んだ方ならきっとご存じのこんな言葉。

  「前期三部作」「後期三部作」

 そもそも漱石という作家は、わずか十数年(明治38年~大正5年)の小説家生活の内に、十編の長編小説を(ほぼ毎年一編ずつという恐るべき創作力で)書いた方ですね。
 十編を一応順番に並べますと、こうなります。

  「吾輩は猫である」→「虞美人草」→「三四郎」→「それから」→「門」
  「彼岸過迄」→「行人」→「こころ」→「道草」→「明暗」


 「坊っちゃん」なんかの中編小説やその他短編小説は省いてありますが、この十作の内の3番目から5番目をまとめて「前期三部作」、6番目から8番目をセットで「後期三部作」と呼ぶという、有名な文学史的習わしであります。

 ところが同時代評はそうはいかないんですね。
 「門」と「彼岸過迄」の間に大きなテーマの進展(展開)があるなんて、当たり前だけれど、漱石が亡くなって作品全体が見通せてからでないと(そこまで行かなくても、せめて「道草」が書かれ始める頃まで待たないと)分からないから、「前期・後期」なんて言う「くくり」にはできないわけです。

 もっと細かなところを話題にすれば、例えばその小説がまさに連載されている最中の評論の場合、主人公が誰なのかさえ同時代評によって異なってきます。
 そもそも「後期三部作」なんて、みんなそんな謎解きのような書きぶりですものね。

 「彼岸過迄」の最重要人物は「須永」ですが、彼を中心に物語が展開するのは全体の半分を過ぎてからですし、「こころ」の「K」の登場もそうです。「行人」については主人公は「一郎」か「二郎」かということも、途中までではよく分かりません。

 そんなことが同時代評からは読めて、何かはっとする視点の新鮮さのように感じられたりします。また、先見の明のある論者とない論者がわかったりなんかもして、なかなか面白いです。

 とまずそんな感じの第一章なのですが、筆者が最も力を入れている第三章になりまして、ここもとても面白くはありながら、私は思わず「うーん」と唸って考えずにはいられない感想を持ちました。

 いえ、石原千秋の他の書籍も以前少し読んでいましたから、本当は全く唐突なものではありませんでしたが、それでもつくづく考えたのですが、……えーっと、すみません、次回に続きます。


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Last updated  2017.04.02 16:29:47
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