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analog純文

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2023.01.09
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  『私の文学史』町田康(NHK出版新書)

 本書は、少し変わったところから出ている新書であることからもわかるように、NHK文化センターで十二回行われた連続講座の講義を編集したものであります。
 サブタイトルとして「なぜ俺はこんな人間になったのか?」とありまして、筆者の文学的半生をたどる形になっています。

 第一回からの第十二回までの内容を大雑把にまとめていくと、まず少年時代の本との出会いから始まって、青年期の歌手デビュー、そして詩集を出版し、さらに小説を書き始め、ざっくり現在に至る、と。

 そんな内容になっていますが、今回私が読んでとっても面白かったのは、第四回「詩人として――詩の言葉とは何か」の部分でありました。
 筆者はこのように書き出しています。

 ​もういきなりですけど、「詩とは何か」ということを僕なりに考えたことがあるんですね。​

 実は、わたくし経験則的に、「文学とは何か」とか「詩とは何か」などという、かなり高いところから構えた文章は、結局のところ納得しがたいという思いを持っているんですね。そういったものは、なかなか定義や総論になりにくい、と。

 で、今回もそんな気持ちを持ちつつ読んだのですが、それがとても面白い。
 ただそれは、全面的に納得できるというものではなく、また、何を書いてるのかよくわからないという部分もありつつ、しかし、筆者はなるほどそういうふうに考えるのかという部分がとても興味深くありました。
 それを以下にちょっと報告してみたいと思います。

 まず筆者は、人間の中にあるものを「理屈」と「感情」に分けて、それを元に「わかる」「わからん」を四つに分類します。少し説明も加えて、書いてみますね。

 「わかるからわかる」……理屈でわかるし感情でもわかる
 「わからんけどわかる」……理屈はわからないが感情的に同調している
 「わかるけどわからん」……理屈で言われればそうだが納得がいかない
 「わからんからわからん」……ある美意識やルールなしにはわからない

 どうですか。言われれば、まー、当たり前っぽいですが、まず筆者はこう分類して、詩はこの二つ目「わからんけどわかる」ではないかと進めていきます。

 そしてこの上に、次の段階の分類が重なっていきます。
 それは、「わからんけどわかる」であれば何でもいいのではなく、そんな詩には2種類あると説くんですね。こう。

 「おもろい詩」と「おもろない詩」

 そしてさらに「おもろい詩の四条件」という風に展開していきます。これもざっくりまとめて書いてみます。

 1.感情の出し方がうまい
 2.調べ、つまり音楽的
 3.そいつ(筆者)自身がおもろい
 4.意味内容が正しかったり、役に立ったりする

 またどうですか。
 私は特に3、4番などかなり実践的な分析だと思いました。

 さて、このように二重の基準で詩とは何かを語ってきた筆者は、しかし最後にそれに則ってこのように書きます。

 ​「詩っておもろないな」​

 そしてさらにこう続けます。

 ​「詩にはですね、実は途轍もない落とし穴があるんです。」​

 ……えーっと、ここまで報告しましたが、さらにこの先まで書いてしまうのは、いくら何でも少しルール違反のような気がします。(まあ、12あるうちの1つの章だけの内容なんですが。)

 やや申し訳ないながら、以下については、各自で本書をお読みいただければと愚考するものであります。
 筆者の言う「途轍もない落とし穴」については、なかなかユニークかつやはり「実践的」な分析だ(そしてやはり全面的に納得できるという種類のものではないかもしれないが)と私は思いました。

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Last updated  2023.01.09 15:47:49
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