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カテゴリ:昭和~・評論家
『日本映画史110年』四方田犬彦(集英社新書) わたくしのもうひとつの拙ブログにも同様のことを書いたのですが、10カ月ほど前から、いろんな映画を見るようにしました。 60本くらい見たのですが、もちろん各作品、見ていてそれなりに楽しいのですが、どうも、なんといいますか、評価する「基準」とでもいうべきものが、よくわかりません。 いい映画だったなー、と思って、具体的断片的にどこがよかったとは何となく思うものの、やはり、総論的「基準」のようなものがよくわからないんですね。 そして、そんな時私は、ちょっと不安、というか、自信のなくなるタイプであります。 という、自分自身のこともまた、この10カ月ほどで学んだんですね。 なぜそんなことに気が付いたかというと、それは、私の「不安」の原因を説明しても、一向に理解されない知人が、複数名いたりするからです。 なんで、そんなこと思うの? と不思議がられる、と。 まー、そんなこともあって、そもそも割とブッキッシュな人間であるもので、勢いその手の本なんかを読んだりします。そんな一冊が、この度の報告図書であります。 「〇〇史」を学ぶ、というか、知ることは、やはりその分野の理解のためにはとても大切なことだと思っています。 一時期、私は、日本文学史を始め、アメリカとかイギリスとかの文学史をけっこう読んだことがありました。もう古い話ですが、割と楽しかったのを覚えています。 で、映画史なんですが、本書の章分けでいいますと、第一章が「活動写真 1896~1918」となっています。そこから、21世紀の初めまでの日本映画史を、一応網羅している本なんですね。(ついでの話ですが、筆者はもちろん全作鑑賞なさっているんでしょうねえ。大変な数ですよ。でも、文学史を書く人はやはり一応全作読んでいらっしゃるでしょうしねえ。) ただその「網羅」というのが、まー、いわゆる「〇〇史」の、便利で役に立つけれど限界でもあるかな、と。 いわゆる、総花的になってしまうわけですね。 事実や知識に触れるにはいいかもしれませんが、いわゆる読書的納得や感心感動、というところまではなかなか届きません。 それに、作品に対する評価や、逆の批判についても、個々作品に対して深い掘り下げがない、という感じになります。 そんな「映画史」を、ただでさえ自らの評価基準に不安のあるわたくしなんかが読むと、まー、けっこう戸惑うわけですね。 ちょっとそんなところを抜き出してみますね。 これは第12章「制作バブルのなかで 2001~11」の部分です。 『ALWAYS 三丁目の夕日』と『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』は、いずれも高度成長期に差しかかった東京を懐かしみ、CG合成を用いてそれを再現しようとするメロドラマである。過去は失われたものであるがゆえに美化され、昭和という時代に存在していた社会的矛盾と政治的困難は慎重に排除されている。こうした後退的傾向は、バブル経済の崩壊した後、いつまでも深刻な停滞に悩む日本社会において、観客に支持された。 いかがですか。私はこの評価が間違っているとは思いませんが、多分短くまとめる必要のために、ここからあふれ出す部分をかなり切り捨てていると感じるものです。 そして実は、本書を読み終えたその日に、たまたまテレビで『ALWAYS 三丁目の夕日』が放映されていまして、それを部屋で女房と並んで見ていた私たちは、あー、昔はそうだったよねー、などと懐かしみ合いながら、そして、クライマックス部分では、やはり目頭が熱くなったりしていたわけであります。 ……そんなわけで、うーん、これが、まー、映画批評のむずかしさなんですよねー、とか言いながら、そもそもの頭の作りがイージーな私なんかは、かなり戸惑ってしまうわけであります。 というわけで、この度私は本書を読んで、よし次はこの人の作品を見てみようと思った何人かの監督の名前がメモできたことが、最大の収穫のような気がしました。 いえ、それは本書を批判的に言っているのではなく、本当はそれ以外にも、例えば戦時期における日本映画についての記載とか、日本が一時期植民地としていたアジアの地域の映画状況についてとか、今まで私が全く知らなかったことについて興味深く書かれてあり、とても感心しました。 また、21世紀に入って、映画界に、あるいは数多くの様々な芸術芸能も同様なのかと思いますが、なかなか新しいもの、優れた展開が現れてこないことについてとか、これもまた興味深い指摘がありました。 というわけで、わたくしは今もそれなりに面白く映画を見続けていますが、その一方の、自分の感想をどうまとめればいいかの「よくわからなさ」も、まだまだ続きそうであります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2023.12.17 08:34:33
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