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カテゴリ:時事&立腹
「反日が五輪反対」 賛成派もあきれた安倍さんの「世界観」 毎日新聞 2021/7/14 05:00 有料記事 お変わりありませんなあ……というのが正直なところ。安倍晋三前首相が月刊誌の対談で、東京オリンピックに反対する人々を「反日的と批判されている人たち」などとくくってみせた問題である。御年66歳。五輪の混乱を巡る自身の責任は語らずに、「反日」という言葉を振りかざす「安倍的世界観」を考えた。【吉井理記/デジタル報道センター】 責任語らぬまま、振りかざす「二元論」 今とは別人のような安倍さんの姿である。安倍さん初の本「『保守革命』宣言」(共著、1996年)の一節だ。要約する。 <(進歩的文化人やマスコミは)善玉・悪玉の図式で政治を論じていた。私の父(安倍晋太郎元自民党幹事長)も祖父(岸信介元首相)も政治家で、彼らが最も打倒したい相手でもあったわけだが、自分としては父も祖父も悪人ではなく、真摯な一政治家と捉えている。それを善玉・悪玉論で片付ける人たちに対して、人間とはそんな簡単なものではないのではないか、と思わざるを得なかった>(同書40~41ページ) 人間も政治も複雑だ。二元論で語れない――。同感である。だがそれから25年、同じ人物とは思えない発言が、安倍さんがよく登場する「Hanada」8月号で飛び出した。同誌常連のジャーナリスト、桜井よしこさんとの対談である。 野党批判に始まり、安倍さんの五輪招致時の手柄話や五輪の意義、中国脅威論、自民党はスゴい、菅義偉政権は頑張っている……といった内容が続く。安倍さんがとうとうと語り、桜井さんがお説ごもっとも、とばかり合いの手を入れ、ともにメディア批判で気炎を上げる、というおなじみの構図である。 一応、問題の箇所を再録する。桜井さんが五輪批判について「菅政権をひきずりおろすための政治利用」などと水を向けると、安倍さんがこう答える。 <彼らは、日本でオリンピックが成功することに不快感を持っているのではないか。共産党に代表されるように、歴史認識などにおいても一部から反日的ではないかと批判されている人たちが、今回の開催に強く反対しています> 毎日新聞の世論調査(6月19日)では「中止」「再延期」が計42%、読売新聞(6月4~6日)でも「中止」が48%である。コロナ禍は収束せず、ついに4度目の緊急事態宣言である。ワクチン接種も遅れに遅れた。開催に否定的な声が上がるのは当然だろう。こうした声を「反日的」とくくるような物言いは何なのか。 「私は開催に賛成です。少なくとも肯定している。その私も怒りを通り越し、あきれ果てました」とふんまんやるかたないのは民族派団体「一水会」の木村三浩代表である。テレビの討論番組などでもおなじみだ。 「五輪招致時の首相として、本来なら割れる世論をまとめる立場です。なのに『反日』などと敵視する物言いを平気でする。言葉が軽すぎるんです。そもそも現在の状況を招いたのは、昨春、大会組織委員会の会長だった森喜朗氏が2年延期を主張したのに、『完全な形で実施する』とみえを切って1年延期にした当時の首相、安倍氏自身です。まずこのことについて説明するのが先でしょう」 ジャーナリストを名乗る桜井さんが、20ページに及ぶ対談で、安倍さんにそのあたりを突っ込むことは決してない。そもそも、戦前に生まれた「反日」という言葉は、同誌ではよく登場する。そういう媒体である。 付言すれば、安倍さんが10日に新潟県内の2カ所で行った講演でも、東京五輪については「大変残念だが、無観客となる方向で決まった」と述べるにとどまり、自らの責任について言及することはなかった。 「敵か味方か」批判に耳傾けず 「反日の対義語は親日ですね。反日か親日か。つまり敵か味方か。安倍さんは自分と違う立場や意見の人間は敵、という感覚があるのではないでしょうか」 「立場」という言葉で思い出した。共同通信の政治記者として自民党最大派閥だった竹下派(経世会)などを担当したジャーナリスト、後藤謙次さんが、今年6月の取材でこう嘆いていた。 「安倍さんに批判めいたことを言うと、安倍さんは二言目には必ず『いや、あなたは経世会だから』と言うんです。今は経世会なんてないんです。平成研究会。自分の出身派閥でもあり、父・晋太郎氏が率いた清和会は当時、経世会に冷遇されたという恨みが今もあるのでしょうが、『立場』で人を見るというか……」 思えば首相在任中も、自分の政策を批判する人に「左翼」「恥ずかしい大人」(13年6月9日のフェイスブック)、「こんな人たち」(17年7月1日、都議選の演説会で)といった言葉を投げてきた安倍さん。前出の「『保守革命』宣言」で、「(保守思想家の)西部邁さんがいう保守の定義に一番共鳴する」と記していた。 その西部さんは18年1月に自死する。親交を結んだ評論家、佐高信さんは同年3月、取材にこんな回想をしていた。 「西部さんは安倍氏が第1次政権を降りた後は勉強会を開いたりして励ましたりしていたんです。でも再登板後はその政治姿勢を厳しく批判し、安倍氏も西部さんに近づかなくなった。保守は本来、批判や違う意見すら取り入れる懐の深さがあるものだが、安倍氏は違う。大叔父・佐藤栄作元首相は、自分を批判していた美濃部亮吉・東京都知事を使って中国と関係を築き、後の日中国交回復につなげたものだが……」 西部さんの死後の同年4月、「偲ぶ会」が永田町の目と鼻の先、東京・半蔵門で開かれ、文化人のみならず自民党議員らも駆けつけたが、安倍さんが姿を見せることはなかった。 さて、前出の10日の講演では東京五輪を「世界に夢を与え、人と人とを結びつける祭典だ」とも語っていた安倍さん。結びつけるどころか、7年8カ月の在任中、「敵か味方か」といった物言いで世論の分断を深め、退任してなお「反日」と言い放つ態度は変わらないのか。 再び前出の木村さん。「まさか、いまだに首相再々登板をもくろみ、『反日』といった言葉遣いを好む層にアピールした、などとは考えたくもありませんが……」と前置きしてまとめてみせた。 「拉致問題も北方領土問題も全く動かず、五輪招致くらいしか実績がない。それゆえ五輪への批判は許せない、としか思えません。でも世の中、敵か味方かじゃないでしょう。指導者なら、敵をも取り込む度量がなきゃ。本来、批判は自らを見つめ直し、己を高める機会とするものです。最低限、謙虚に耳を傾ける姿勢だけはほしいですね。もう難しいかもしれませんが……」 ちなみに前出の対談で、立憲民主党の枝野幸男代表について「『非常に自己愛が強いので、批判されることに耐えられないのではないか』と見る人もいます」とくさしていた。ご自身はいかがなのだろう。 【毎日新聞デジタル;元記事はこちらへ】 ◆作家の適菜収氏が日刊ゲンダイに『66歳児「安倍晋三」こそが反日 わが国の“内なる敵”なのだ』というコラムを寄稿している。66歳児とはうまいこと言ったもんだと思う。近年加速度的に劣化しているように見えるのは老人認知症の「幼稚化」と似ていないか。気に入らないヤツを徹底的に叩きのめす、まさに66歳児だ。 記事の最後にあるアベ氏が枝野代表の悪口を言った部分は以前他の記事で読んだ。わたしは「… と見る人もいます」という言い方は姑息だと思った。「誰かがそう言っている」のではなくて本当は「私本人がそう思います」なのだ。それを「私はそうは思わないがそう言っている人もいる」と、言い逃れできるように悪口しているのだ。全くもって卑怯極まりない。 アベ氏自身が自己愛が強く、批判に耐えられないので首相の職責を二度も放り投げているんだろ。他人のことを言ってる場合じゃない。アンタだよアンタ。笑わせてくれるよなぁ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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