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テーマ:中国&台湾(3303)
カテゴリ:中国駐在時代
≪面子≫
「不簽??(サインしない??)」と言う陳社長の声が聞こえた。 「現在不想簽字(今、サインしたくない)」と答えた。 公証書の職員が私と陳社長の顔をかわるがわる見ていた気がする… 「…好了,算了ロ巴(いいよ、やめよ)」と陳社長が言った。 呆気にとられる職員を尻目に、私は先に部屋を出て行った。 「我要回公司(会社に戻る)」と私は言った。 だいぶ冷静になってきた。 これで、いい。 陳社長へ恩はあるけど、納得のいかない事は、私はしない。 後々考えても、その方がいい。 車に乗って、 「我要回公司(会社に戻る)」と、もう一度言った。 陳社長は「好了(分かった)」と言ってエンジンをかけた。 ホッとしたのと同時に『悪かったな』という気持ちが沸いた。 「不好意思ロ阿,因為太突然的ロ巴,所以…(ごめんなさいね、突然すぎて…)」 思わず愛想笑いが出た。 「えらい事してくれたな…」と陳社長がつぶやいた。 え? えらい事って… 何言うてるの、人を騙すような事をして… 陳 「我没面子ロ阿(俺、面子ないよ)」 笑いながら言って、ピタピタと自分の頬を叩いた。 私 「・・・・・・・・・」 陳 「えらい事してくれたわ…」 私 「・・・・・・・・・」 ・・・私を責めてるのか? この話、元々おかしくしたのは、あんたやで… 私 「…ちょっと待ってよ。最初からちゃんと言ってくれたら、こんな事に ならなかったかもしれないよ。でも、あなた最初言わなかったでしょ? ハッキリ言わなかったでしょ?」 陳 「我没面子ロ阿(俺、面子ないよ)」 また言う… 確かに、書類を確認もせずにサインしたのは私。 陳社長がウソをついたとしても、サインした責任は私にある。 どう言えば、いいだろう……(考)……あっ! 私 「陳社長、東方花園はホントに駄目なんよ。一期も、かなりもめてる。 二期の工事も、こんなに延びてるなんて業者がおかしいんよ。 私、そういう意味からも、あそこは勧められない。 …そうだ!『七色港湾』は、どう?あそこはウチの会社の顧問弁護士も 買うって言ってたし、場所もいい!」 陳 「・・・不行,他要東方花園。(・・・駄目だ、彼は東方花園が欲しいんだ)」 陳社長は憮然とした表情で言った。 ここまで言ってるのに。…東方花園はホントに駄目なのに。 この、頑固モノっ!! ・・・・・・・・ 仕方ない、聞き入れないもの。 私 「…とにかく。私は解約するから。お金はあなたに返す。サインした書類全部返してね」 陳 「…ああ」 私 「今日の晩は?」 陳 「あ~今日は…駄目だ。明日の晩、君のアパートに行くよ」 え…私の部屋に来るって? …まあ、もう断りにくいし… 私 「いいよ。じゃあ、明日の夜ね。私、お金返すから書類全部持ってきてね、絶対よ!全部よ!」 陳 「分かったよ…」 翌日のPM7:30 陳社長がアパートに来る事になった。 つづく。 この話はシリーズ物になっています。 宜しければ【25】中国で不動産を買おうとした話(別窓)も御参照下さい^^ ←是非1票お願いします!(別窓) ←こちらも是非!非常感謝!(別窓) ←御支持お願いします^^(別窓) 陳社長は、これまでの付き合いから考えてガメツイ人ではなかったです。 ただ計算して動くタイプで、プライドも非常に高い人でした。 「面子」「面子」と言っていたので、もしかしたら 取引先とか大事な人に東方花園の話をしたのではないか、とも思います。 それなら彼が、ここまでこだわったワケも納得いきますが。 でも自分の面子の為に、人を騙していい道理はない。 気持ちは分かりますが、受け入れられる範囲を超えていました。 予告:また、モメます(泣) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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