先日、出張からの帰りの電車。
関西空港からなんば行き、例のごとく大きなスーツケースを持った
外国人でごったがえしていました。
私は席に座りスマホニュースを見ていたら
隣の人の動きが気になり始めた。
20代だろう、カウボーイハット風の帽子を被った
活発そうなジーンズの若い女性。
セミロングの黒髪に化粧気のない肌。
黒い大きなスーツケースを足で挟むように
抱えながら、電車が駅に停まる毎に身を乗り出して外を見ている。
連れもいないようだ。
気になる。
『駅名を確認してるんだな。
どこまで行くの?って聞こうかな・・・』
停車の度にかなり焦って駅名を確認しながらも
周囲に気を配っている様子から
中国人ぽくない雰囲気。
顔立ちもちょっと南系?台湾人かな?香港?
思っていると隣の若い女性は次にスマホを覗き込み、
指を素早く動かしながら何か熱心に調べだした。
見るとはなしに横目で(笑)チラと見ると英語だ。
続けて見ていると「Zalo」という通信アプリが目に入った。
(Lineみたいな機能です)
『あれ?彼女はベトナム人かな・・・』
というのは、つい最近この「Zalo」がベトナムでよく使われている
通信アプリと知りダウンロードしたばかりだからだ。
「あの・・・***エキにはナンジにつきマスか?」
彼女が話しかけてきた。
「ちょっと待ってね、すぐ調べるから」
次は私が素早くスマホを操作して時間を調べて教えた。
「ワタシ は、***エキでチェンジして〇〇〇エキにいきたいです。
サイシュウジカンはなんじですか?」
最終には間に合う、彼女は「ヨカタ」とほっとした表情だった。
彼女は昔6年ほど日本にいたそうだ、片言でも話せるのはそのためらしい。
一人旅だそうで、大阪や京都を旅するそうだ。
私はどこから帰ってきたのか聞かれたので「台湾です」と言うと
「台湾はいいですか?」と。
「いいですよ。人が親切で食べ物も美味しいですよ」と自信持って伝えた。
来年、旅行に行くそうだ。
彼女は一人で電車に乗るのもなかなか不案内のようだし
「何かあれば、いつでも電話して質問して下さい」と名刺を渡しておいた。
彼女の向こう隣に座っていた男性は、我々のやり取りが気になるようで
横目で(笑)チラチラ見ていた。
私は彼女の名前を聞かなかった。
彼女が困った時だけ連絡をくれれば良いのだ。
********
4年ほど前、関空のチェックインカウンター付近で
順番待ちをしていた時に特大キャリーケースを持った女の子の集団と接触した。
何がきっかけだか忘れたが、
彼女らが中国人と分かり、その内の一人と私は言葉を交わした。
色が少し浅黒いが、目がぱっちりとしたリンゴのほっぺの女の子だ。
年の頃は20歳前後だろうか。
彼女らは初めて日本に来て、働きに来たのだという。
「どこで働くの?」と聞いたら
「チープーシエンは、いい所ですか?」
子供のように可愛らしい
期待を込めた表情で聞いてきた。
『チープーシエン・・?何とか県だな。』
漢字で教えてもらって分かった。
「岐阜」
岐阜かぁ・・・
そこでピンときた。
外国人研修生かな・・・
地方で働くのか・・農業か工場か
あまり、いい話聞かないよな~・・・
等と一瞬よぎったが
「・・・うん、いい所ですよ。自然が多くてね、人も優しいよ」
「そうですか・・・!」
リンゴのほっぺの彼女はとっても嬉しそうにしたんです。
この時、私は心配になったのです。
彼女の期待と、現実のギャップが大きいかもしれないと。
この子供のような可愛らしい子が、日本で悲しい思いをしないかと。
この時、名刺を渡して「何かあれば連絡して」って言おうかな、と思ったんです。
でも、後で面倒な事になったら・・・とか臆病な気持ちが出て
渡せなかったんです。
彼女らには引率者がいて集合を促されていました。
遠目に見えた引率者は黒いスーツを着た不愛想な男性でした。
彼女が私に笑顔で手を振りながら
不愛想な男性の方へ小走りに走っていくのを見て
『・・・名刺渡せばよかった』と思ったのです。
いまだに思い出すのです。
彼女はあれからどうなったのだろうか、と。
なので私は困ってそうな外国人を見ると(勿論、怪しくないか見ますが)
名刺を渡すようにしました。
私も今まで、見知らぬ中国人や台湾人に
本当に助けられてきましたから、お返しのつもりでもあります。