雨の夜・・・
「ねぇ,また雨だよ!」あなたの言葉の何処かがつまらなそうに感じるのは,きっとわたしの心が何かに途惑っているからなのかしら・・・ 「そうね,これじゃ何処にも行けないわね。」何気なく返した言葉・・・でも,あなたは感じたのね。休みの日に,何処へも連れて行ってくれないから・・・って想っているわたしの気持ち。何故かしらね?ほんの短い会話なのに,こんなにあなたのことが分かるなんて・・・こんなに長い間一緒にいられるなんて考えても見なかったから・・・そう・・・もう5年になるのよね・・・あなたがわたしの部屋に転がり込んできてから・・・きっと,もうこれで終わりって感じても,何故かそのままになっていたわ。お互いの仕事のことも,聴かないまま・・・こんなに長い間一緒にいるなんて・・・みんな 大きな誤算だったのかも知れない。いつでも出て行けるようにと,あなたはここに来たときの荷物をいつも鞄の中に入れているもの・・・あの日と同じように・・・もう・・・・・テーブルの明かりも消えるわね・・・グラスに注がれたワインが空になるように・・・きっと・・・・・・