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カテゴリ:友人
すごい遅刻の言い訳をされたことがある。
その日は、その人と初めてデートする日だった。 確か花火を見に行く予定で、殊勝に浴衣を着ていたことを思い出す。 待ち合わせに待たされることに免疫のなかった私は、約束の時間を10分過ぎてもこない相手に、ちょっと不安になっていた。 その人との待ち合わせが初めてだったこともあり、「何か手違いがあったのか」と、とても心細い気持ちで一杯だった。 15分ほど待っただろうか…。 走ってやってきた彼が言った。 「ほんとに、ごめんなさい!! 言い訳が3種類あるねんけど、どれがいい?」 「え、3種類って何ですか?」 「動物愛護編と未知との遭遇編と、家族大好き編やねんけど…」 「…じゃ~、動物愛護編からお願いします」 「罠にかかった鶴を助けててん」 「……」 「お礼に反物とかくれるって言われてんけどな、急いでるからって、断ってきてんで」 「惜しいことしましたね…。じゃ~、未知との遭遇編は…?」 「あっ、宇宙人に連れ去られてん」 「……」 「長い時間やったんか、短い時間やったんか…。ちょっと時間の感覚はワカラヘンねんけど、気がついたら宇宙船の中やってん」 「すごいですね…」 「いろいろ聞かれたわ。お好み焼きにマヨネーズはつけるのかとか、根掘り葉掘り…」 「…無事に帰ってこれてよかったですやん。…じゃ、家族大好き編は…?」 「家を出る直前に、おかんにビデオの予約頼まれてん」 どうやら、本当の理由はこれらしい。 家族に頼まれたビデオ予約を、野球の延長時間も計算に入れて、予約するよう又頼みされたらしい。 後から後から、いろいろ追加情報をもたらすので、予約に手間取ったとのこと。 ←これでちゃんと予約してください。 当時、「向かい風が強かった」とか、「電車が混んでいた」とか、いろんな下らない言い訳が横行していたが、この言い訳三部作は衝撃的だった。 後日、「中国マフィアに拉致された」と言って、無断外泊する手法もあると教えてもらった。 同じ遅刻するにしても、こんなふに言われたら笑うしかないな…。 でも、毎回こんな調子だったら、普通に謝られるより腹立つだろうな~。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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