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大学のときの恩師である。
彼は無類の練乳好きであった。 齢50歳半ば。 見た目は、ダンディな俳優のように、おしゃれなナイスミドルである。 面倒見のよい、ガキ大将(かなり子供っぽいところもあった)といった感じで、学生にもとても人気があった。 そういう私も、彼のゼミを専攻し、卒論末期のころには、毎日のように研究室に入り浸ったものだ。 ある日、近くのファミレスで、何人かでお茶していたときのこと。 「イチゴのなんちゃら」を注文した先生が、信じられない事を言った。 「おい、アンセ。向かいのコンビニで練乳買ってきて」 ……本気だから、怖い。 「イチゴには練乳が絶対いる」 「お店の人が、これが一番おいしいと思って調理してくれてるものに、練乳とか掛けるのは失礼ですよ」 「俺がおいしいねんから、関係ない。早く買ってこないと、間に合わない」 全く聞く耳をもたない先生である。 頑なに拒否しているうちに、「いちごのなんちゃら」が運ばれてきた。 「来てもうたやんか」 ちょっとムッとしているが、いちいち気にしていてはいけない。 どうやら、震災後作った「非常袋」にも、先生宅では練乳が入れられているらしい。 「冷蔵庫には、いつも練乳が入ってるで」←ちょっと自慢げに 「でも、食べ過ぎたら、奥さんに怒られるねん」」←ちょっと悲しげに 「だから非常袋にも入れておくんだ」 「だから」という接続詞の意味を、図りかねていると… 「非常袋って、定期的に古いもの入れ替えなあかんやろ。だから、古くなった練乳を、どんどん消費するねん」 全く自信満々である。 「でも、そもそも非常袋に練乳っていります? もっと大事なものがあるでしょう」←私 「何をいうか! 俺にとっては、練乳は欠かされへんものなんや!! 絶対非常袋に練乳はいるぞ!!!」 このほかにも、先生の逸話は、非常にたくさんある。 そういえば口笛が非常にうまく、(勝手に口笛部・部長を任命した)いつも自転車に乗りながら、口笛をビブラートさせていた。 しかし、私にとっては心の恩師。 人生の師と仰ぐ、とっても大切な先生である。 また機会があれば、紹介していきたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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