人間、勘違いや思い込みによるミスというのは、よくあることだ。
だが、ときどき「わざと」間違う輩もいる。

中学以来の友達のことだ。
ちなみに彼女、以前「だいたいバス」の回で、話題をかっさらったあの逸材である。
あれは、一緒にエスカレーターに乗っていたときのことだ。

…エスカレーターにお乗りの際は、お足元に注意し、手すりを持って…

エスカレーター付近では、このような放送がエンドレスで流れている。
普段は聞くともなしに、周囲の風景と化している「音」の一部であるが、突然彼女は言った。

「エスカレーターにお乗りの『サイ』に聞こえるねんな～」

想像してください。
２足歩行で、エスカレーターに乗っている『サイ』を。

「あとお子様連れの『サイ』とかさ」

はい、もう一度想像してください。
２足歩行で、「子どものサイ」と手をつないで、エスカレーターに乗っている「サイ」を。

この報告を受けて以来、実は町中に「サイ」が氾濫していた事を知った。
「ご乗車の『サイ』」とか
「お降りの『サイ』は傘等のお忘れ物をなさらないよう…」
とかさ。

いちいちサイの姿を思い浮かべると、どれも当てはまるシチュエーションばかりで、とても面白い。

さ～、これで皆さんも明日から、街で「サイ」を探してみましょう。
意外にいろんなところで、活躍していますよ。
微妙に暇つぶしになります。