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暖かくなってくると、夕刻小さな虫が大量に飛んでいる。
薄茶色の頼りない肢体に、「大量発生」という単語がピッタリ来る群れ方。 小さな頃、夕方まで遊んでいると、なんだか頭の周りなどにたかられて、気持ち悪いというより「怖い」という感情を抱かせた、あの虫である。 我々は、その虫のことを「脳食い虫」と呼んでいた。 名前の由来は、子ども社会にはよくある「噂話」が飛躍したものである。 大量発生し、顔面及び頭頂部のあたりに群れてくる奴らは、耳から脳に入って我々の脳を食い散らかすというものだが、この話に信憑性を持たせた一つの小さな事実がある。 小学校3年生のときの担任(大西先生)の頭に、いつも人一倍大量の脳食い虫が発生していたからだ。 大西先生は、年配であったが、社会の時間に話してくれる歴史おもしろ話などから、子ども心に頭はとても良いように思えた。 そういえば、大西先生に関するエピソードは数多い。 今なら即PTA及び教育委員会問題に発展するようなことが、日々繰り広げられていた。 この話は、いずれ紹介するとして、そう、脳食い虫である。 その脳食い虫が、いつも大西先生に、ひどくなついており、先生もまたそれを追い払おうとせず、泰然とその虫群の中に身を置いていた。 そんな先生を見るにつけ、 「あ~、賢いから脳を狙われるんだ。でも先生は脳を食べられていることを知らないから、あんなに落ち着いているんだ」 と友達どうしで話し合ったことを覚えている。 さて、今年も脳食い虫の季節である。 夕暮れ時に、公園などを通ると、性懲りも無く奴らは群れている。 今でも、あいつらの正体及び目的は不明のままだ。というか調べたこともないけど。 しかしながら、無駄になつき人々の顔面付近に集合する性質は、ずっと変わらない。 そして大人になった今、子どもの頃にはなかった注意を払わねばならなくなった。 唇を奪われる問題である。 グロスなどで、テカテカに粘着力を高めている唇は、ときとして「ハエ取り紙」の威力を発揮する。 油断していると、ときどき唇に奴が張り付いていることがあるから、これ注意してほしい。 期せずして捕獲してしまった折には、マジでパニックになるぞ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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