雪とシャムロック
3月の半ばに入ってから、ずっとぽかぽか日和の日々が続いていたので、きっとこのまま一気に春を迎えることができるかなーと思いきや、突然の雪、それもかなりまとまった雪の世界に逆戻りしてしまった。ここNY市の近郊ではそれほどでもないが、郊外の方は大変らしい。早朝のニュースにて、各地区の学校で臨時休校や1、2時間遅れの開始が相次いでいた。残念ながら?NY市の公立校は平常通りである。唐突ですが、シャムロックを知っていますか?多分、クローバーと言えば誰でも知っているでしょうね。そう、この日はアイルランド人の聖なるお祭りの『セント・パトリック・デイ』でした。この日はアイルランド人にとっては本当に特別な日で、仕事や学校を休み、朝から教会に出かけ、そのあとマンハッタンで行われるパレードに参加する人たちもいるからなのである。(そして、翌日の朝までアイリッシュ・バーで飲み明かす酒豪家たちもいる!?)老若男女、シンボルカラーの緑の服を纏い、胸にはそのシャムロックのコサージュを飾っている。娘のバレエ学校でも、それはそれは大変な賑わいであった。年齢によるクラス分けで、それぞれレオタードの色が違う。ちなみに娘のクラスは赤である。(赤ちゃんクラス?)10~11才のクラスが緑なのだが、緑のリボンや花飾をアップした髪に付けたり、顔にも身体にもシャムロックの形のステッカーをペタペタ貼り付けている子がいた。まるで、自分たちのためのイベントだといわんばかりの懲りようであった。(毎年、そうらしい)本物のアイリッシュの子が1人いて、オフ・ショルダーのレオタードの大きく開いた背中にグリーンのグリラ-ペンで”Kiss me today!!! I am Irish."と大きく書かれてあった・・・どこから見ても目立っていた。マンハッタンへのアイルランド人の入植は、オランダ人、イタリア人に続いて早い時期であったが、当初はかなりの差別と迫害を受けて来た歴史があるということを聞いた。イギリス人とは違い、カソリックのキリスト教を信仰していたためである。当時はあまり良い条件の仕事に恵まれなかった彼らは、唯一平等な公務員として採用される者が多かったという。今でも、NY市の警察官や消防士はアイルランド人が多い。彼らの守護神、セント・パトリックを祭った大聖堂が本土のアイルランドと全く同じ姿でマンハッタンのドまん中にそそり立っている。五番街のパレードの人々は、皆、そこを目指しながら誇らし気に歩いている。超近代的なビルに挟まれた聖堂と同じく、緑のシャムロックと白い雪のコントラストが不思議な調和を醸し出していた。