天使の小部屋

どうしようか・・・
迷いながらもベッドサイドの
オレンジ色のボタンに手を伸ばす。
もうすでに体は限界にきている。


主人が驚いたように声をかける。

「え！？呼ぶの？」

その声を聞き、吹っ切れたように
指に力を込める。


もう限界だ。

今しかない！


そしてこの時の選択が
私の運命の歯車を動かすことになる。

ナースコールがひっそりと鳴った。






私が陣痛室に着いた時には
すでに先客ぬんぷ様が4名程いました。

え！？NSTで陣痛室に来たとき
こんなに人がいたことなかったのに
すでに4名！？

ちょいと驚きを隠せない。

うっうっ
カーテンだけで仕切られたこの空間・・・
あんまり騒ぐと恥ずかしい・・・・

などと言っていられたのは最初のうちだけ（笑）


はぅ～～っ
ふっふっ・・・


おしえられた呼吸法もドンドン怪しくなるばかり。
く、くるしい・・・・

隣のぬんぷ様は
平気で昼食を取り余裕そう。
ごめんよ～うるさくって
でもそのぬんぷ様が助産師さんと
「陣痛がどんなのかまだわからない」
と会話しているのを聞いて
私はなぜそんなあなたが陣痛室にいるかの方がわからない！
と悶えならも心の中で突っ込みを入れていたよ。


ヒフヒフハーッ

呼吸法なんて
もうなんのその
そんな呼吸できていたら
こんなに苦しまんわーっ！

イキんじゃダメって
イキんじゃダメって
なんでダメなの～～～
イキんじゃうよ～～～

そんな苦しんでいる最中の事。
イヤぁ～な感覚が・・・・

この感覚知ってる・・・・
絶対、未知の生物を生み出す感覚じゃないよ！！



頭の中を病院に来てからのやりとりを思い出す。

助産師「今日は排便はありましたか？」

つばさ「いえ、ないです。」←具合が悪く朝から何も食べれなかったし。

助産師「じゃ、昼食後ぐらいに浣腸をしましょう。
　　　　便を出さないと、圧迫されて赤ちゃんが出てこれないから」



「便を出さないと圧迫されて赤ちゃんが出てこれないから・・・・」


「便を出さないと圧迫されて赤ちゃんが出てこれないから・・・・」


「便を出さないと圧迫されて赤ちゃんが出てこれないから・・・・」




って私、浣腸してないよーっ！
なんで早く浣腸しないかねっ！
便たまっているよ。
赤ちゃん出てこれないよ。

っていうか今出てきそうなのって・・・・・・・






第一子誕生。運子（♀）352ｇ




イヤーーーーーーーーっ


私の輝かしい人生にそんな汚物汚点を残すなんてーーーーっ！！！



まさか自分がこんな失態を見知らぬ人達の前で
さらすことになろうとは。
この事態だけは絶対避けたかったのにっ！！


助産師さんどっかいっちゃってこないよ。

トイレ行きたいよ。

早急に行きたいよ。

「いきんじゃダメ」と言われているけど

そろそろ限界だよ。。。。。


キョロキョロ様子を見るも
助産師さんが見当たらず・・・

ナースコール。

もうナースコールしかないっ！！


「はい、どうされました？」

え！？ナースコールしたら
すぐに飛んできてくれるんじゃないの？
今ここで用件言わなきゃダメ！？

先客ぬんぷ様達がきっと私の様子を耳をダンボにして
聞いているに違いないんだ
運子を出産しようとしているなんて
微塵も悟られたくないっ！！！
↑ものすごく緊迫していても
こういうことだけには頭が回るのね。不思議。

黙り込む私に助産師さんは何か感じ取り

「今行きます。」

と来てくれました。



私は駆けつけてきた助産師さんにしがみつき

「ト、トイレ行きたいんです！！！」

「出そうなんです！！！」

旦那はこのセリフですべてを悟り、
困った様な顔をしていました。（笑）


「便じゃないわよ。赤ちゃんだわ。
分娩室に移りましょう。」

え？マジで？運子ちゃんじゃなくて？？？


っていうかもうちょっとちゃんと様子見ていてよ。
あやうく陣痛室でご出産しちゃうとこだったじゃん！！


あれよあれよという間に

先客ぬんぷ様4名を尻目に
さっさと阿鼻叫喚の陣痛室をイチ抜けした。


そして舞台はぬんぷ憧れのぶんぶん室に移したのであった。


つづく。


P.S
遅くなりましたが4月5日の日記からのコメント
すべて返信させていただきました。
前回の4月18日の返信だけまとめてのお返事にさせていただきました。
宜しくお願いしまーす。



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