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カテゴリ:素晴らしい出会い編
いらっしゃいませ、マスターの濱田です。
実は、90年代、マスターは東京の四輪雑誌の 編集部に籍をおいていました。 そう、実はマスターは、 モータージャーナリストでもあったのです。 長いこと、クルマもバイクも乗っていませんので、 その手の話題は、話すことも書くこともありませんでしたが、 今日は車のお話を、ちょっと書きたいなと思ったので、 書かせていただきますね。 2007年に日産自動車が発表したニッサンGT-Rは、 国産車ではじめて時速300キロオーバーの性能を持つ、 スーパースポーツカーとしてデビューしました。 世界一過酷なサーキットとして知られる、 ドイツはニュルブルグリンクサーキットで、 市販車として世界最速のタイムを記録したことでも、 とても話題になりましたよね。 そして、それだけの超高性能のクルマでありながら、 誰でもがどんな天候、状況でも扱える、 マルチパフォーマンス・スーパーカーというコンセプトも、 世界のどの自動車メーカーにもないコンセプトでした。 でも、世界の自動車評論家たちをもっとも驚かせたのは、 それだけの超高性能車が、700万円台という、 ポルシェの半額で変えてしまうバーゲンプライスだったことでした。 で、多くの自動車評論家は、こう言いました。 「日産は、これでは利益が出ないのではないのか?」と。 そう、そのとおりなんです。 そして、別の意味で、とても大きな利益にもつながっているのです。 世界の名だたるスーパーカーをつくるメーカーの多くは、 実は小さな会社です。 ほとんど手作業のような状態で、高級なパーツをふんだんにつかって、 生産されます。 それは、その手のクルマを購入する層、 いわゆる富裕層、ハイエンドユーザーに、 的を明確にフォーカスしていることで、それが可能になっています。 ところが、ニッサンGT-Rは、ほとんどの工程を、 普通量販自動車と同じライン工程でつくっています。 実はこれがとてもすごいことなのです。 GT-Rも、量産ラインでつくらずに、他の高級スポーツカーのように、 手作業で製作していたら、価格は3000万円くらいになっていたそうです。 でも、このクルマを低価格で生産するためには、 なにがなんでも、通常の量産ラインにのせなければなりませんでした。 ところが、このクルマに要求された部品精度、 部品と部品の整合精度は、とても通常のラインで生産は不可能なほど、 精度の要求されるものでした。 ゆえに、試験的にラインに乗せたときは、 たった一台のGT-Rがラインにのっただけで、 何十分もラインがとまってしまう事態が起きたそうです。 ラインが止まって、工場の工員の方たちは、 そりゃもう、ブーブー言っていたそうです。 それは、部品製造メーカーも同じで、 絶対にできっこないという要求の連続だったそうです。 ですが、製作総指揮の水野氏の情熱と、 不可能を可能にしたいという多くの人の思いとチャレンジが、 絶対不可能としか思われなかった壁をブレークスルーして、 世界最高性能のクルマを、驚きのバーゲンプライスで実現しました。 そう、すごいことというのは、バーゲンプライスにできたことではありません。 絶対不可能と思われた精度を、部品メーカーも、 量産ラインでも、実現したこと。 これがすごいことなんです。 通常のラインで、すさまじく精度の高い工業製品を製造する。 ということは、ラインの人たちのレベルは、 超高い精度の仕事をできるスペシャリストたちに成長します。 製造技術、技術者の能力ともに、飛躍的に高いものになり、 他の製品の精度、品質もひじょうに高いクオリティが可能になります。 そしてなによりも、すごいことをやりとげた、 素晴らしい情熱の産物をつくっているのだという、 誇りも、関わった多くの人たちが共有したことでしょう。 「日産は、このクルマでは利益が出来ないのではないか?」 とコメントした評論家の言ったことは、事実です。 なぜなら、GT-Rの利益率はとても低いからです。 ですが、GT-Rを生み出したことによって得られたものは、 今後の日産、そして日本の製品、果ては世界の製品の 水準を大きく変えていくものになるでしょう。 一台のクルマとしては、利益は出ないでしょうが、 このクルマがその後、生み出すであろう、 利益(お金だけでなく)は、とてもつもなく大きなものです。 モーター・ジャーナリストの清水氏が、GT-Rに試乗した際、 「他のメーカーが、もしかしたらいろんなことを言うかもしれないけど、 じゃあ、つくってみろよって、言いたくなるよね」と、 コメントしていたのが、とても印象的でした。 あのポルシェが、GT--Rがドイツで出したタイムに、 「おかしいじゃないのか?」と抗議したという話題が、 ニュースになっていましたが、開発者の水野氏は、 「ちゃんとしたデータですよ」とさらり。 王者ポルシェが、株を下げるカタチに。 GT-Rが、世界最速タイムを記録してからというもの、 いろんなメーカーが、どんどんタイムにチャレンジして、 現在GT-Rのタイムは、世界第8位。 でも、そのいずれもが、価格度外視の スペシャルな仕様のクルマです。 量販市販車としては、やはりGT-Rが世界最速です。 (水野氏は、GT-RのスペシャルモデルのスペックVでは、 タイム計測するつもりはないと言ってます 特別仕様のクルマで出したタイムには、意味がないからやらないと) でも、どのメーカーのどのクルマが世界一速いかということは、 本当の意味では重要ではありません。 多くの人の技術と、チャレンジスピリットを刺激し、 不可能を可能にする体験を、多くの人が共有し、 そして、なににも変えがたい体験と誇りを提供したこと。 そして、今後の大きな技術進歩も実現したこと。 これが、すごいことなんですよね。 世界的な経済不況が叫ばれる中、 でも、このチャレンジが無駄になることは決してありません。 かならず、このスピリットと、クオリティは、大きく花開く時がくるでしょう。 なにより、素敵だなと感じたのが、 雑誌の取材に応じた関係者たちのコメントで、 「絶対に無理って思ってた」と言いながら、 みなとてもいい笑顔をしていたという記事でした。 長いことクルマには乗っていませんが、 ニッサンGT-Rのオーナーになりたいなと思いはじめたマスターでした。 本日は当店にお越しいただき、本当にありがとうございます。 またのお越しを、心よりお待ちしております。 いってらっしゃいませ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
February 20, 2009 10:54:13 PM
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