梅木水晶の日常

男の元から逃げる為に、
仕事の休みの日を利用して、
子宮けいがんの検診を終えた後、
会社に行き、淡々と退職の手続きを進め、
上司の小林さんの仕事がひと段落してから、
小林さんから、名古屋駅まで送ってもらい、
名古屋駅から東京行きの新幹線に乗ったのが、
19時～20時くらいだったと記憶しています。

小林さんは、
「今日はこのへん（名古屋駅周辺）のホテルに泊まって、
　明日出発した方がいいんじゃねえのか？」と言ってくれましたが、
私は、一刻も早く男のいる愛知から離れたかったので、
「ホテル代が勿体ないですよ。笑」と言い、
小林さんに、
「山形着いたらすぐ連絡しますね。
　本当に、ありがとうございました!!」とお礼を言い、
東京行きの新幹線に乗りました。

東京駅に着いたのは、21時～22時くらいだったと記憶しています。
その時間では、もう山形行きの電車は走っていませんでしたので、
０時までは、東京駅構内で、軽い食事と暖をとり、
０時を過ぎてからは、駅が施錠？されるようでしたので、
駅を出て、駅周辺を１人で散策していました。

２月と寒かったので、
暖をとる為に牛丼屋さんに入ったものの、
30分もすれば食べ終わってしまいます。

食べ終わってからも牛丼屋さんの店内にいるのも気がひけたので、
牛丼屋さんを出て、どこか横になれそうな所を探しました。
ありませんでした。

ファミレスでもあればよかったんですけどね。
ドリンクバーで何時間でもいれる。
しかし、ありませんでした。

仕方がないので、牛丼屋さんを出た後は、
ベンチで座って寝ました。

何でしょうこのベンチ、
横になって寝れないようになってます。笑
ホームレス対策でしょうか。笑

今考えると、カラオケ屋さんに入るなり、
小林さんに言われた通り、
そのへんのホテルにでも泊まればよかったのかも知れませんが、
あの犬のような男と、
暖かいけれども雨風をしのげる室内で眠るよりも、
寒いけれども、1人で寒空の下ベンチに座っていた方が、
何と言うか「これからの未来に対する期待」のようなものが
自分の中にあったので、
なかば意地でベンチで夜を明かしたというのもあります。

自分がホームレスにでもなったような気持ちでした。

しかし、心はとても晴れ晴れとしていました。

私はベンチに座ったまま目をつむり、
夜が明けるのを待ちました。


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