梅木水晶の日常

肉体的な暴力こそなかったものの、
日中だろうが、夜中だろうが、
男の私への説教は、とどまる所を知りませんでした。

当時の私の直属上司であった小林さんから聞いた話なのですが、
私の隣の部屋に住んでいた大西さんという女性が、総務課長に、
「毎日のように、夜になると梅木さんの部屋から、
　男性の怒鳴り声が聞こえるんですけど…。」
といった報告があったそうです。

私が男との交際に疲弊していた事は、
私の直属上司である小林さんが一番よく知っていたので、
「犬に静かにして貰うよう頼んどけよ。」と言われたので、
私はその日、家に帰ってから男に言いました。

「今日、総務課長から、私の直属上司の小林さんに、
　『梅木の部屋から男の怒鳴り声がする』って言われたんだけど…」と言うと、
「何?!　１０１号室?!　１０３号室?!
　誰がそんな事、総務にちくったの?!」
「１０１号室の大西さんが…。」と言うと、
「あいつか…!!　あいつ、凄く性格悪いよ!!
　僕が、こんにちは、って挨拶しても、うんともすんとも返さないし、
　僕を化け物を見るみたいな目で見て、
　僕と目が合っただけで、きょどってる女でしょ!!
　
　あいつが自転車で外に出る時、僕、風除室のドアを手で押さえてやってんのに、
　ありがとうの一言もないし、ほんと、感じの悪い女!!
　
　本命の彼氏もいない癖に、毎日男は部屋に入れ代わり立ち代わりだし!!
　３人はいるね、間違いない!!　声が聞こえるもん!!
　大人しそうな顔して、恐ろしい女だよ!!
　
　水タンは寝てるからわからないかも知れないけど、
　夜なんか、ほぼ毎晩女友達呼んで、馬鹿騒ぎしてるんだよ!!
　笑い声はうるさいしさ!!
　水タンはよく寝ていられるな、って思うよ!!
　
　しかも、水タンが家にいない時に限って、
　僕たちの部屋の玄関のドアを、力いっぱい殴っていくんだよ!!
　あの新聞受けが、下にガシャーンって落ちるくらいね!!
　僕、部屋で静かにしてるから、物凄くびっくりするんだよ!!
　それにこの間は、僕んちの郵便受け覗いてたからね?!
　
　高学歴女は変なプライドがあるよね!!
　いつもニコニコしながら手をつないで歩いてる、
　仲のいい僕たちが羨ましくて仕方ないんでしょ!!」
と、まくしたてるように大西さんを罵倒し始めたのです。

私の知る限り、大西さんはいつも穏やかで、
私が売場のノルマで「〇〇を買って頂けますか…。汗」とお願いすると、
「じゃあ１つだけ…。笑」と買ってくれたり、
私が従業員用トイレに入っている時に、
仕事用の携帯電話が鳴っていたりすると、
「先程、梅木さんの携帯電話がなってましたよ。」と教えてくれたり、
私がバタバタしながら事務所内に入ろうとすると、
事務所のドアを開けて、通る場所を開けていてくれたり、
また、彼女が転勤する前日には、
私は特別、大西さんには何もしてあげていなかったにも拘らず、
(むしろ私の方が、男の怒鳴り声で迷惑をかけていた)
「梅木さん、お着替え中の所すみません。
　今迄、大変お世話になりました」と、丁寧に挨拶をされていかれる、
大変奥ゆかしい女性、といった印象の方でした。

その大西さんが、
男のフィルターを通すと、
根崎さんの時と同様、極悪非道なあばずれ女になるのです。

大西さんに関する、私に対する、
上で挙げたような事例を一つ一つ男に話すと、
「全くもう…!!　水タンはね、騙されてるんだよ!!
　人がいいから、すぐ騙されるんだよ!!
　人間、会社で見せてる顔が全てじゃないからね!!
　でもどうせ水タンは、
　僕の言ってる事なんか嘘だって思ってるんでしょ!!」と言うのでした。

だって、証拠が何も無い。

ヒモ　働かない　同棲　同居　内縁関係　暮らす　暮らし　精神的ＤＶ　ドメスティックバイオレンス　ストーカー　束縛　逃げ　配偶者　彼氏　恋人　我慢　耐える　耐えられない　暴力　警察　相談　ミクシ　ｍｉｘｉ　フェイスブック　ｆａｃｅｂｏｏｋ