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物欲☆あんず雨

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2011年06月30日
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カテゴリ:雑談
正直、もうUpするのをやめて、昨日までの日記も消して、このブログそのものを削除してしまおうかな…と思うたりもするのですが…。

書きかけて、Upし始めてしまったからには、それは余計にいけないことのようにも思えますし…。
今更もう、削除してもしなくても、自己嫌悪に陥るのは同じ…と、申します辺りで…。

続けようと思います。

原爆や、残留放射線の話になりますゆえ、今、この時期、ご覧になられたくない方々様は、どうかスルーなさってくださいまし…。

最初からご覧くださる節は、この日記から、日記上部か下部の『次へ』をクリックしていただけますれば、この文に繋がって参ります。


母方の家族は、戦前戦中戦後を通して、広島市内に住んでおりました。
戦前の住居は、市内ほぼ中心部、爆心地から申さば、500メートル圏内にあったようです。

当然、原爆によって倒壊焼失、焼け跡しか残りませんでした。

家に居れば家族全滅だったところ、祖父は戦地、祖母は当時小学校低学年だった母や叔父を連れ、庄原の、祖父の実家に疎開しておりました。

家には、前述の『広島のおばちゃん』こと、大叔母(母方・祖父の姉)が住んでいました。
大叔母は、その爆心地1キロ圏内の家から、2キロ圏より外側の、広島駅北側にあった国鉄の建物の一つに出勤していました。

その日の出勤時、大叔母が『ある幸運』のおかげで、爆心地から少しでも離れることができた…というエピソードがあるのですが、それはまた、別の機会に記述したいと思います。

とにかく、当時の母・実家に、親族ではただ一人残って住んでいた大叔母も、被爆死は免れることが出来たのです。

でも、その実家の、同じ棟か、すぐ近くかに住んでいたという大叔母と親しかったスミヨシさん(たぶん住吉さん)(女性)は、原爆による火災で亡くなられたそうです。

火災が治まってから、やっとの思いで家の焼け跡に戻って、彼女の遺体を発見したのですが…。
その時のことを語る大叔母の、「帰ったら、スミヨシさんがスミ(炭)になっていてね…」という口調が、忘れられませず…。

スミヨシさんには申し訳ないのですが、『スミヨシさんがスミに…』というのが、子供心に残ってしまい、以来、地名の『住吉』を聞いても、『スミになったスミヨシさん』を連想してしまいまして…。

悲しすぎる『韻』であります。

住む場所を無くした大叔母がその後、国鉄の宿舎に入ったか、それとも郷里に戻ったか…は失念してしまったのですが…。

終戦を迎え、ほどなく、祖父が復員。
彼がいつごろ市内の焼け跡に家を建て直したのかは定かでないのですが、半年もしないうちに、庄原から家族を呼び戻して、市内で一緒に暮らすようになりました。

母の記憶では、帰って来たのは冬になる前、広島駅から海まで、ほとんど建物の無い光景を見て驚いた…とのことで、昭和20年の、11月か12月頃に、帰って来たのだと思われます。

母、叔父・叔母、3人とも鮮明に憶えているそうなのですが、バラック同然の新居の玄関には、祖父が拾って来た屋根瓦がたくさん積んであったそうです。

原爆資料館を見学された方なら、ご記憶かと思うのですが、原爆の熱線によって、表面が一瞬、沸騰状態になって泡立って、それがそのまま固まってプツプツになったいわゆる『被爆瓦』です。

家をちゃんと建て直すとき、焼け残った瓦をまた使おうとしたのか、祖父が拾い出して、几帳面に積み上げていたようです。
その他、防空壕から出したビン類やら、何やら、すべての物資が不足していた当時、焼け残っていたものは何でも、大事に使ったに相違ありません。

それらのものや…。家族全員が、毎日行ったり来たりする玄関にあった、件の瓦…。
当時、ガイガーカウンターがあったなら、警告音鳴りっぱなしだったかと思われます。(おそらくは、広島市内の、どこの家でも…)

被爆当日、市内に居なかったのに、数日以内に救護活動などで入って、それまで元気だった人が急死する…。その事実は、既に皆知っていて、「どうやら原爆というのは、爆発した後も、しばらくの間、危険な『何か』を残し続けるものらしい…」ということは、既に多くの人が認識していたと思います。

けれど、何ヶ月も、あるいは何年も、人の健康を害するその『何か』が、飲み水や土や、残った建物や道具などから発し続けられるとは、当時、ほとんどの人が、考えておられなかったと思います。

祖父が、家族ために良かれと思って集めたであろう瓦。
祖母が、少しでも食卓を彩ろうと庭に作った野菜。
毎日飲む、井戸水。

…母は、時折「うちは『ガン家系』だから(ガンになりやすいかも)…」と口にします。

祖父が、私めが高校生になった頃、数年越しで患ったガンで亡くなり、その前、私めが小学生の頃、叔父(母のすぐ下の弟)が30歳になったばかりで、ガン死しているからです。

でも、ある年、お墓掃除をしながら見たご先祖たちの享年で、江戸時代くらいに幼児で亡くなっている者などを除いて、皆けっこう長生きをしていることに気付きました。

だからと申して…。
祖父や叔父のガン発症の遠因が、被爆後ほどなく市内に住み始めたことにある…というのは、考え過ぎかもしれません。

ただ、市内に戻った時期的に、他の家族はともかく、祖父の場合、被爆者申請をすれば、通ったかも…と母は申します。
同じ頃に市内に戻った叔父(母の、末の弟)の友人は、戦後何十年も経て、申請し、被爆者手帳を受け取ったそうです。

自分が残留放射線の影響を受けているか、そうでないか…。
これは、微妙な時期に広島市内に戻った多くの人が、今でも葛藤しておいでのことだと思います。
(長崎の場合も、同様と思われます)

チェルノブイリ以降、初めて、残留放射線の真の怖さを知った…という方も、体調不良のたびに、ひょっとして…とお思いかもしれません。

もはや、調べようもなく、調べることができたとしても、発症した病気との因果関係を立証するなど、到底不可能…ということになるのです。


3月の原発事故以来、放射性ヨウ素はもとより、セシウム、ストロンチウム…といった名称を、嫌でも覚えてしまいました。

そして、ヨウ素以外の放射性物質は、半減期が数10年単位…ということも認識しました…。(プルトニウムは、2万4千年…)

原爆による残留放射線と、今現在起こっている原発事故で放出された放射性物質によるそれとは、当然、諸々の違いがあると思います。

ですので、私めが、自分の親類縁者の『過去』を回想して、「怖い…」という気持ちを抱いてしまうのは、大いにズレていることなのかもしれません。

そもそも、被爆後の広島で祖父や叔父と一緒に暮らした母本人は、今も元気でスポーツクラブや韓ドラ三昧ですし、祖母も92歳まで長生きいたしましたし…。

これまで書いたことは、本当に単なる、私めの、考え過ぎかもしれないのです。


もし、もしも、原爆の残留放射線のせい…だったといたしましても、それと疑うことなく、ガンや白血病を、不運な巡り合わせとして受け入れて亡くなって行った親類縁者のほうが、救われる面があったかも知れません…。

この先、病気になってしまった場合、「ひょっとして、原因は…」と疑ってしまう気持ちを持つほうが、悲しくつらいことなのでは…とも思います。


被爆治療に何十年も携わり、研究してくださった多くの医療関係者の皆様の努力や、チェルノブイリ原発事故後の研究結果などから、今の私たちは、祖父母らの世代より、多くの知識を得ることができるようになっています。

その、いろいろなことを『知ってしまった』時代に生きる身といたしましては…。

各種事実や(信頼すべき)情報から目を逸らしたりせず、怖いから…と申して、考えることから逃げたりせず、『きちんと、向き合う』『向き合って、対処する』ことをしなければならないのでござりましょう。

日常生活を続けて行く上では、いつもいつも、そのことを意識するのは、気が重く、しんどいことではあるのですが…。

そうしなくてはならない『現実』から、逃れられなくなってしまった以上は、覚悟して、向き合い続けなければならないのでござりましょう。





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最終更新日  2011年07月01日 09時22分28秒
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