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Kadomania

Kadomania

2008年02月10日
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カテゴリ:CLASSIC
聞き比べシリーズ第二弾です。

もう、ここまでやると、読者の方々に、ある種の修行を強いて

いるかの様な気がしております。大変恐縮であります・爆



今日は、「展覧会の絵」のオーケストラ版です。

やはり、「展覧会の絵」と言えば、このオーケストラ版が

オリジナルと呼んでも良いくらいメジャーでして、原曲である

ピアノ版の方がマイナーなんですねえ。これは、あの「ボレロ」で

有名なラヴェルが、このピアノ版をかくも見事に壮麗で、豪華な

音絵巻へと仕上げたためなんですが、いわゆる編曲というか

今で言うカバー曲と言えるかも知れませんね。


そうそう、宿題です、前回、クラシックは究極のカバー曲大会だと

書きましたね。

一人の作曲家やら、一つの有名な曲を世界中のありとあらゆる

指揮者やオーケストラがプロ・アマ問わず繰り返し演奏しています。

んでもって、クラシックオタクの方々が、「あの指揮者は良い」

「あのオケは素晴らしい」とケンケンガクガクの論戦を繰り広げて

いるのですが、はて?何でクラシックってそうやって同じ曲や同じ

作曲家の作品を誰も彼も演奏しているのかと言えば、著作権の問題が

あるからなんです。


誰もがクラシックの作曲家と言えば浮かんでくるのが、

バッハ、ハイドン、モーツアルト、ベートーベン、ブラームス、シューベルト、

チャイコフスキー、ドヴォルザーク、メンデルスゾーン、ショパン、シューマン

ラフマニノフ、ワーグナー、マーラー、ブルックナー、ショスタコーヴィッチ・・

キリがないので、ほんの一部ですが、メジャーリーグ級の方々です・笑

こんなメジャー級の方々は大体18世紀や19世紀に活躍、または亡くなられた

方々ですね。20世紀だとマ-ラ-や、ショスタコあたりがメジャーですが・・・

で、このバッハやベートーベンなどの作品って著作権が無いんですね。

つまり、おいらが家で、ギターやピアノやPCで「運命」を何らか演奏した物を

録音して売ってもOKなのですわ(誰も買わんけど・笑)


ところが、おいらが角松さんの曲を歌って録音して販売したら(誰も買わんけど)

これは著作権違反で、お縄になってしまうんです。

この違いは、著作権が、その著作権者が亡くなってから、50年後にその権利

が消滅するという性質のためです。

たとえばドラえもんのキャラクターは作者の藤子さんが、残念ながらお亡くなり

になって50年経つと、おいらがイラスト書いて、Tシャツにして売っても問題ない

という事になるって事ですね。

ミッキーマウスでも同じ事なのですが、あと10年ほどで著作権が切れるディズニー社は、

この50年問題を法律を変えて70年にするだ100年にするだと騒いでますねえ。

ここがアメリカの嫌なとこですね、自分らの利益の為には世界中の基準を力技で

変えてしまえという発想がキライです。(だから戦争になる・苦笑)


話しが、それましたが、そういった訳で、20世紀や21世紀にも交響曲を書いて

たりオーケストラ用の素晴らしい楽曲を書いている方もた-くさんいらっしゃるん

ですが、その著作権がネックで、なかなか演奏されたりレコーディングされる

機会が少ないのです。

例えば、いま、ご存命中の日本の作曲者の曲をオケで演奏会をしようとすると、

いつ、どんな規模で、どの場所で、何曲を、いくらのチケット販売で開催すると

言った細っかい内容をJASRAC(日本音楽著作権協会)に申請しないとダメなんですよ。

そんでもって、終わった後の収支からなんから報告して、何%の著作権料を払うと

言った感じらしいのです。これは面倒でしょ?財政の厳しいオケ群からしたら、

そこまでして演奏するなら、「運命」や「展覧会の絵」で人集めて、稼いだ方が

良いってなりまさーね。百歩譲って、クリエーターの著作権や生活を守るのは

当然ですから、それらの収益がきちんと作曲者に渡れば良いのですが、

ヤ○ザの元締めの様なJASRACは、どうも、かなりの額をピ○ハネしている

ご様子で、いつもミュージシャンやアーティストともめてますわな。

こういった事も原因の一部で、なかなか現代曲というのが、クラシックの世界で

普及しずらいのでしょうね。

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さ、宿題も終えた所で、ムソルングスキーの残した遺産を一番有名なオーケストラ版

で聞いて、この山下さんから始まった4回シリーズを終わりにしたいと思います。

前回のピアノ版原曲で、展覧会の絵のラストを少し覚えて頂いていると、今回の映像は

かなり面白く感じられるのではないでしょうか?

二つの演奏をご紹介しますが、指揮者はどちらもイケメンという事でも人気のお二人

です。イケメンと言っても、お一人は女性です・笑。

お一人は、そうです、あの西本智美さん、もう一人はフィンランドの若手で人気の

エサ=ペッカ・サロネン氏です。サロネンさん、若手と言っても、もう50歳ですけどね・爆

クラシックって、70歳とか80歳で、ベテラン或いは巨匠と言われますからねえ・笑

今日のポイントは聴いて頂いた後に、書いてみますが、この二組の演奏って、いきなり

聴いた時に、どちらがみなさんの心に響くか、ちょっと気に留めてみてくださいね。








指揮:西本智美/演奏:ロシア・ボリショイ交響楽団

♪♪♪ 展覧会の絵より、バーバヤーガ~キエフの大門







指揮:エサ=ペッカ・サロネン/演奏:フィルハーモニア管弦楽団

♪♪♪ 展覧会の絵より、バーバヤーガ~キエフの大門


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どうですか?笑。終わった後の笑顔は西本さんの方が可愛いです・爆

西本さんは、やや遅めのテンポ、サロネンは、ほんのちょっと速めのテンポで演奏を

していますねえ。おいら、西本さんは応援している指揮者の一人ですが、残念ながら

この二つを聞き比べると、圧倒的にサロネンに軍配があがります。

おいらが、今も、オケに所属してティンパニを叩いていたとするならば、今回の曲に関して

は、サロネンの下で演奏したいと思ってしまうのです。

くどいですが、これはおいらの感じ方で、西本さんに軍配があがる方がいても、

何ら問題はありませんから、気にせずご意見ください。


おいらの感想です。

西本バージョンは、少しゆっくりめにテンポを取って、雄大に、この曲を表現しようという

意図が感じられるのですが、いかんせん、パート毎のまとまりがやや希薄で、バラバラ感

が否めないのです。これ言ったら何をエラそうにと言われるの覚悟で書きますが、

西本さんは、腰から上、肩まで含めて、かなり動かれるので、カラダを曲げた後に、そして

肩を動かした後に、腕がやや遅れ気味に前へと振り出されます。それに連れて、指揮棒も、

やや遅れて出てきて打点を示します。(カッコいいんですけどね!)

これは演奏側の慣れの問題なのではあるのですが、ここがちょっと合わせにくい気がして

しまうのです。

このオケから感じる(本当に微妙なんですが)ズレが、どうも居心地悪いのですね。

何かノリ切れない感があるのですが、どうでしょう?



対する、サロネンバージョンですが、彼も動きは激しいのですが、肩の位置があまり変わら

ないので、とても見やすいし、取りやすいなあと思います。一番、最後の最後の部分を

お二人で比べると分かり易いかも知れません。サロネンは肩から上で振る事が多いです。

音のつくりも、弦の響きや金管の鳴りは長目にテヌート(音を保持する)を取る事で、人の

高揚感を引き立たせる気がします。「こういう風に鳴らして欲しい」という指揮者の意図が、

明確にオケに伝わっている様に思うんですね。そして、終盤へ向けての、楽員の乗せ方が

実に上手いと思います。「さあ、行くよ~」っていうのが、体や目から発信されていて、

こちらも「よーし!」ってなってしまいます・笑


みなさんは、どちらに軍配を上げるのでしょう? 笑



さ、ちょっと生意気な意見を書きましたが、これはおいらがヘボ楽員だったので、ちゃんと

わかってないだけかもしれないです。大体から、プロオケの方々も、さんざん指揮者とリハ

を重ねて、公演に臨むわけですから、おいらが言った小言なんて完全な的外れなのかも知れ

ないのです。そんな事は、音楽を聴く上では、二の次、三の次で良い事なのですが、おいら

からみた違いをご説明するのに、敢えて書いてみました。

以前、西本さんの特集をした事があったのですが、もう一年も前になるんですねえ。

あれから、西本さん、さらに番組に出られたり、車のテレビCMに起用されたりして、

ますますご活躍の様ですね。

まだまだ、これからです!先長いですから、頑張って頂きたいですね。

あ、サロネンさんは、ほっといても大丈夫ですから・笑


山下さんに端を発したシリーズになってしまいましたが、本当に長い映像ばかりで

大変失礼しました。

ご覧になる方も、さぞや、気合いのいった事と思います。

かなり構えてご訪問頂いた事と想像します。

が、ちょっとでもまた、クラシックが身近なモノになって頂ければ本望です。

そして、ギター版、ピアノ版、オケ版とたどりましたが、やっぱり最後にもう一度

山下版をご覧になられると、あの苦しみから生み出された音に共感出来る部分が、

また出てくるのではないかと思います。



ありがとうございました。






西本さんの過去記事です↓

西本智美という指揮者Part1

西本智美という指揮者Part2







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Last updated  2008年02月11日 13時55分13秒
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