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串かつ屋の後、カラオケに行った。 「ずっとaoの歌を聴きたいと思ってた。前に飲み会で聞いたっきりやもんね。」 「ドリカムの『めまい』歌える?」 彼も歌が上手い。 今まで聞いた男の歌で、多分一番上手いと思った人だった。 相変わらず上手。 お互いにバカみたいに褒めながら、時間は過ぎて。 曲が途切れた時に彼は話し出した。 「突然連絡しなくなって、何で今更って思ってるやんな。 怒ってくれていいよ。今日も会ってくれるなんて思ってなかった。 だから、それだけでも充分嬉しいねん。」 怒る気なんてサラサラない。 ただ、あの時のあなたには私じゃなかった、って事だけだから。 私は、あの時でなきゃ、あなたに飛び込む事は出来なかった、それだけ。。。 「結局、前の彼氏とはどうなってるの?」 相変わらず、同居人だって告げた。 好きな人が出来たって言っても、彼は解放してはくれなかった。 一緒に過ごしてくれるだけで幸せ、そう言った。 彼が私を誰よりも、とてつもなく愛してくれているのは解っていて、 私が居なくなったら死んでしまうんじゃないかって怖くなった。 身体の関係も何も、もう何年もない。 手を出したら私が家から出て行くと思って、彼も何もして来ない。 こんなんで彼は幸せなはずがない。 私も解ってるよ。。。 「ダメ元で言うけど、もう一回俺と付き合ってくれへんかな。。。 今度はもう絶対に逃げない。もう一回チャンスくれへんかな。。。」 もう無理だった。 涙が出てきた。 なんであの時じゃなかった。。。。 あの時に会えなくなった理由も色々と説明してくれた。 でも、そんな事は好きだったら関係ないな、と心で思った。 数年前の冬、最後に会った時の寂しい冷たい顔を思い出してしまった。 この彼がこんな表情するんだ、って悲しくなったことも思い出した。 「あの時、忘れるのにすごい時間が掛かった。平気で会えるって思う今日まで、 薬飲むほど辛かった。あの思いが怖くて、もう信じることが出来ない。ごめんね。」 帰り際、キスされそうに引き寄せられた。 「ごめんね。。ほんとにごめん。。。」 うつむいたまま、背の高い彼の大きい身体を押し離した。。 「元気でね。ばいばい。」 帰ったらメールが来た。 「会ってくれてありがとう。プレゼントもありがとう。 メッセージカード読んでたら涙出てきた。ほんとにごめんね。 また会えたら会いたいです。」 「ありがとう」って返信して、今までのメールを削除した。 時間掛かった。 すごく疲れた。。。 でも、ちゃんと話せてよかった。 ちゃんと話が出来たから、やっとひとつ吹っ切る事が出来た。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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