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カテゴリ:病院・健康診断・主治医・薬
ためしてガッテン(2007/3/7放送)「健康診断」より
健康診断を定期的に受けている人、受けていない人、 実にさまざまですが、検診そのものに対する関心は高いようです。 ところが、最近、その健康診断の効果に疑問の声を呈する報告もあります。 実は、健康診断の結果を生かせるかどうかは、受診者次第だったのです。 厚生労働省研究班が、健康診断の各項目について 病気の予防や死亡率の低下といった有効性があるのかどうかを、 国内・国外の論文を幅広く調べて有効性を調べました (平成16年度『最新の科学的知見に基づいた保健事業に係わる調査研究』) その結果、なんと24の検査項目のうち16項目は、 有効性を示す根拠が薄いという評価となりました。 ◎∞――――――――――――――――――――――――――――――∞◎ 問題:次の4つの検査項目のうち 有効性を確かめられなかったものはどれでしょうか? 身長・体重の測定/うつ病の問診/X線検査/血糖値 答え:X線検査 「身長・体重の測定」は、減量指導を充実すれば有効。 「うつ病の問診」は、健診後の指導や治療の体制整備を条件に有効。 「X線検査」は、肺がん発見に有効との証拠なし。 「血糖値」は有効。 ◎∞――――――――――――――――――――――――――――――∞◎ 「X線はバツ?肺がん発見に有効との証拠なし」 都内にお住まいのKさん75歳。 若い頃はヘビースモーカーでしたが、40歳のときにタバコをやめました。 その後、会社の健康診断は欠かさず受診していて、 肺のX線検査では一度も異常は見つかりませんでした。 ところが13年前、新聞記事で見かけたある検査法を受けてみたところ、 早期の肺がんが見つかったのです。 その後、手術をして肺がんを無事、取り除くことに成功しました。 定期的に受けていたX線検査では、がんは発見できないのでしょうか? 正面から撮影したX線写真には死角ができる 正面から胸部を撮影した場合、心臓や内臓の部分が白く映ってしまうため、 その場所に肺がんがある場合には、写し出すことが難しくなってしまいます。 ◎∞――――――――――――――――――――――――――――――∞◎ X線では映らなかった肺がんを発見できた“ある検査法”とは何でしょうか? 「ヘリカルCTとは?」 Kさんが受けた検査とは、「ヘリカルCT」と呼ばれる装置での検査でした。 ヘリカルCTは、X線の撮影装置をぐるぐる回転させるのが特徴です。 撮影機器を高速回転し、体を移動させながら撮影するのです。 CTスキャンで撮影した場合、輪切りの撮影を何度も繰り返すので 時間がかかってしまうのですが、ヘリカルCTであれば、短時間で終わり、 あびる放射量も少なくて済むのです。 しかも、X線写真で死角になっているところも撮影可能で、 ミリ単位で何百枚も撮影することができるため、 早期のがんも鮮明に映し出すことができるようになったのです。 国立がんセンターのデータによると、肺がん検診の場合、 ヘリカルCT導入前は早期の肺がんが見つかる割合が約40%。 導入後は約80%に改善し、進行前のがんの発見に役立っています。 肺がん検診での胸部X線検査について 今回の報告の対象は「健康診断」ですが、 X線検査に関して肺がん発見にいくつかの有効性を示す報告もありました。 肺がん検診を「定期的に受診している人」と 「たまにしか受診しない人」での死亡率を比較すると、 前者は後者に比べて死亡率が30%低かったという報告もありました。 たとえX線の検査でも、受けないことが一番よくないのです。 ◎∞――――――――――――――――――――――――――――――∞◎ 「動脈硬化がわかる眼底検査」 健康診断の血液検査の数値に、異常が複数あるとやがてなるとされる動脈硬化。 動脈硬化とは、血管がもろくなる病気のことです。 この動脈硬化が直接目で見てわかる検査があります。 健康診断の血液検査で異常が見つかった、 20代から40代の男女の方にこの検査を受けてもらいました。 すると、10人中8人は異常なしと判定されましたが、 2人は動脈硬化性の変化があるといわれたのです。 これはいったいどういうこと!? 動脈硬化が眼でわかる眼底検査 10人が受けた検査は「眼底検査」 特殊な装置を使って眼の網膜にある動脈と静脈を直接観察するという検査で、 全身の動脈硬化をみる指標のひとつとされています。 眼の血管は脳の近くにあるため、眼の血管に異常があると、 脳でも同じようなことが起こっていると推測できると考えられています。 眼底検査は眼科で受けられます。 内科と連携しながら診察することもあります。 また、人間ドックや健康診断の2次検査で行われる場合があります。 ◎∞――――――――――――――――――――――――――――――∞◎ 「カラダの異変!これが発見(運命)のわかれ道」 都内に住むBさん71歳は、10年前のある日、異常な足の痛みに襲われました。 腰の痛みもあったので、近所の整形外科を受診したところ、 意外なことがわかりました。 Bさんの足の動脈を触診したところ、 血液の流れが悪くなっていることがわかったのです。 Bさんは、閉塞性動脈硬化症という高齢者に多い病気でした。 動脈硬化が原因で足や腰が痛む場合があるというのです。 その後Bさんは、整形外科の先生の紹介により血管外科を受診しました。 足の中でも動脈硬化を起こしやすい腸骨動脈に 動脈硬化を起こしていたことがわかったため、 カテーテルを使って血管の血液の通り道を広げる治療を受けました。 ◎∞――――――――――――――――――――――――――――――∞◎ 触診以外に、動脈硬化の危険を察知する検査法はあるのでしょうか? 「エコー検査」 通称「エコー」と呼ばれる「超音波画像診断装置」では、 水以外のものにあたると跳ね返る超音波の性質を利用して、 体の中の様子を映し出します。 現在のエコーでは、母胎内の赤ちゃんや水中の金魚も映し出すことができます。 エコーを使って血管を見ると、血管の動脈と静脈をしっかりと映し出し、 血液が流れる様子も見ることができました。 さらに、エコーをふくらはぎに押しつけることで、 静脈に血栓があるかどうか確認することもできるのです。 エコーで足の血管も診断可能 循環器クリニックなどでは、全身の血管をエコーで診断しています。 また、人間ドックや総合病院の血管ドックなどでも、 全身を診断している場合があります。 エコー検査は「適応疾患」があり、適応となる病気があるか、 そのような病気が疑われた場合に実施された時のみ、保険が適応されます。 ただし、病気のない方でも、人間ドックや検診で受けられる場合があります。 予防効果アップの作戦は「健康診断の数値+画像検査」 健康診断で異常な数値が続いたら、動脈硬化であれば、 エコーや眼底検査といった視覚的な検査が効果的です。 突然、危険な病気が見つかってあわてないためにも、 画像検査で確認することをおすすめします。 健康診断で「数値がちょっと・・・様子を見ましょう」と言われたら 「カラダの中を見る検査」を行うことをオススメする。 ◎∞――――――――――――――――――――――――――――――∞◎ 「PETがん検診の落とし穴!」 「がん検診」は、がんの早期発見のために全国各地で行われています。 がんの種類によって検査法が異なるため、 見落としを避けようとするとどうしてもさまざまな検査を受ける必要があります。 そこで5年ほど前から、医療機関などで がんの診断に使われるようになったのが「PET」と呼ばれる装置です。 PETでは、全身のがんの有無を一度に診断することができます。 PETの大きな特徴は、体の中の代謝を視覚的に見る検査であるということです。 そこで、次のような実験を行いました。 まず、片方の腕だけを動かす運動を運動をしてもらい、 そのあとに特殊な薬剤を注射してPETで診断します。 こうすると、体のどの部分でブドウ糖が消費されているかがわかるのです。 実験結果をみると、運動をした腕が真っ黒に映りました。 実は、がん細胞が増殖するときにも、エネルギーとして 正常な細胞の約5倍のブドウ糖を必要とします。 つまり、がんが活動している部分が、PETで黒く映るのです。 「PETは早期のがんは苦手?」 国立がんセンターの内部調査によると、 ほかの検査でがんが見つかった人のうち85%が、 PETでは異常なしとされていたことがわかりました。 PETで見つけられなかったがんには、まだ転移していないような 早期のがんが多く含まれていました。 PETは、ごく早期の段階のがんを診断するのは苦手なのです。 「検査の見落とし」と考えるよりも、 「PETは万能ではない」と考えることが重要です。 一方、PETが得意なのは、鼻の部分やのど、悪性リンパ種などのがんの診断です。 また、一度に全身を診断できるため、患者への負担が少ないことも特徴です。 「乳がん検査の項目」 一般的に市町村で行う乳がんの検査は、触診と、 場合によってマンモグラフィーも組まれています。 一方、国立がんセンターでは、触診、マンモグラフィー、 乳房超音波での検査を行っています。 徹底した早期発見のために、多くの検査をしているのです。 がん検診について⇒国立がんセンター「がん予防・検診研究センター」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.03.08 21:00:19
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