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カテゴリ:歯・歯周病・噛みあわせ・口臭・味覚・口
みんなの家庭の医学(2010年3月2日放送)より
口から始まる病を徹底予防プロジェクト あなたはこの冬風邪を引きましたか? 若い頃と比べて風邪を引く回数が増えていませんか? 実は最近、厚生労働省の科学研究班が行った研究で 口の中の「あるもの」が健康を大きく左右していることが明らかになりました。 身体の中のある部分を調べると風邪を引きやすいかどうかわかるという。 そのある部分とは「口の中」 口の中のあるものが健康を大きく左右している。 もし、その変化に気づかないでいると… 年間11万人もが命を奪われる肺炎につながることもあるのです。 今 日本人の口の中が危ない! 厚生労働省科学研究班のリーダーを務める名医 柿木保明先生(九州歯科大学摂食機能リハビリテーション学分野教授)が 口の中に潜む意外な落とし穴を徹底解明! さらに、家庭でデキる病を防ぐ簡単な方法を紹介。 ◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆ 実際の症例 ~口の中から始まる病~ 福岡県に住むY・Kさん(72歳・女性) 60歳を過ぎた頃から突然様々な異変に襲われ、 身体はおろか心までもボロボロになってしまいました。 62歳の時 子どもたちが独立し 夫と2人の生活が始まりました。 その矢先 母親が体調を崩し入院 毎日の病院通いで 以前よりもさらに忙しくなりました。 そんなある日のこと 風邪などほとんど引かなかったのに この頃から年に3~4回も風邪をこじらせるようになりました。 母親の看病で疲れが出たのだろうと特に気に留めませんでした。 それから半年 おせんべいを一口食べた時 突然歯に激痛が… 元々歯が丈夫な方ではありませんでしたが、 60代に入って急激に虫歯が増えてきました。 年のせいだろうと深刻に受け止めていませんでしたが ほとんどの歯を義歯に変えざるをえなくなってしまったのです。 気がつけばわずか10年間で15本の歯を失いました。 更なる異変は朝起きた時 口の中が辛いものを食べた時のようにぴりぴりと痛み出しました。 口の中にはできものや傷はありません。 歯科医を受診するも原因はわからず 炎症を抑える薬を塗ると痛みは治まるものの 薬の効果が切れると痛みで眠れなくなりました。 原因もわからず、約6年もの間、苦しみ続けたY・Kさん。 実はその原因こそ、口の中の「唾液」の変化だったのです。 <Y・Kさんに起きた症状> (1)風邪を引きやすくなる (2)虫歯が増える (3)口の中が痛む <病名>口腔乾燥症 Y・Kさんはなぜ口腔乾燥症に? 「口腔乾燥症」は、別名ドライマウスとも呼ばれ、 唾液の量が少ない事で口の中がカラカラに乾いてしまう病。 原因は口の中の唾液量の低下。 現在、日本での潜在患者数は、約800万人。 予備軍を含めると、日本人の4人に1人、 約3000万人がこの病にかかっているといわれています。 唾液は、口の中にある唾液腺と呼ばれる袋状の組織から分泌されています。 この唾液腺をコントロールしているのが、自律神経。 この自律神経の信号によって唾液の量が調節されているのです。 しかし、過度のストレスを受けたり、疲労が蓄積したりすると、 自律神経が乱れ、唾液の分泌量が低下してしまいます。 それが慢性化する事で、口腔乾燥症を引き起こすのです。 健康な人は、1日1リットル~1.5リットルもの唾液を分泌していますが、 彼女のような口腔乾燥症の場合、一日の唾液量は、その半分にも満たない、 0.5リットル以下しかありません。 では何故、唾液が少ないと、様々な症状を引き起こしてしまうのでしょうか? それは、唾液の量が低下する事で、唾液の質まで低下してしまうからだ ということが最新の研究で明らかになったのです。 そもそも唾液には、傷ついた歯を修復するなど、様々な働きがあります。 唾液の働き 1)傷ついた歯を修復 2)食べ物の消化を助ける 3)食べ物を飲み込みやすくする 4)抗菌力 中でも重要なのが、抗菌力。 唾液には、ラクトフェリンなど抗菌成分が、 口から入るウィルスや歯周病菌などを撃退するのです。 ところが、唾液の量が低下すると、その抗菌成分の全体量が減るだけでなく、 なぜか正常時に比べ、唾液に含まれる抗菌成分の割合も減少してしまうのです。 そうなると、口の中は細菌がより繁殖しやすい状態になり、 何度も風邪を引いたり、 歯をほとんど抜かなければならない事態に陥ってしまうのです。 <唾液の多い人と少ない人、その抗菌力の差を実験> 唾液量の低下は、どの程度、唾液の質の低下につながるのか? 番組では事前検査を行い、唾液量が多かった人と少なかった人を選定し、 唾液の抗菌力を比較する実験を行いました。 その結果、唾液が周りの細菌の繁殖を抑えられているかを調べたところ、 唾液の多い方と少ない方では抗菌力に2倍以上の差が出たのです。 唾液の量の減少は唾液の質を悪化させ、 抗菌力を著しく低下させてしまっていたのです。 唾液量低下の原因 1)ストレス 自覚がなくてもストレスを感じている人は多い 2)薬の副作用 普段飲んでいる薬に痰などを抑える働きがあると 唾液の分泌が抑えられることがある 唾液量と年齢は関係あるの? 年を取っても唾液の量は変わらない 若い頃と比べて10キロ以上太った人は要注意! 筋肉ならよいが脂肪だと 脂肪が唾液腺を圧迫し唾液が分泌されにくいことがある。 唾液量は正常だが唾液の質が悪い人がいた 唾液を飲み込む力が弱いと考えられる。 通常2~3分で1回唾液を飲み込むが ストレスが強いと唾液を飲み込む力が弱くなる。 そうすると質の悪い唾液が口の中に溜まる。 本来は唾液の量も低下していたと考えられる。 早食いなどの習慣があると慢性的に唾液量が低下する。 ◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆ <家庭でデキる!唾液量アップ法> (1)食事篇 「咀嚼回数アップの調理法」 唾液の分泌量を増やすのに大切なことの1つが「噛む」こと。 私たちは普段の食事で、どのぐらい噛んでいるのか? 日本人の平均咀嚼回数 1食あたり約600回 あるご家庭で調査を行った結果 5人家族全員が平均以下の回数でした。 咀嚼回数をアップする4つの調理テクニック 1)火を通し水分を抜く 水分を抜くとかたさが増し これで咀嚼回数アップ。 ロールパン⇒トースト ハム⇒ベーコン 2)食材を大きく切る 噛むという行為は食べ物を飲み込める大きさにすること。 つまり小さく切るよりも大きく切るほうが噛む回数自然に増える。 みじん切り⇒色紙切り 3)噛み応えのある食材を使う チャーハンに噛み応えのある食材椎茸を入れる。 4)野菜は繊維が残るように切る 大根の場合は 繊維が縦に入っているので 輪切りにすると繊維の長さが短くなる。 大根を縦に切ると繊維が長くなり 噛み応えがアップする。 カレーの具材も輪切りではなく乱切りに 薄切り肉ではなく角切り肉を使う。 (2)運動篇 唾液力がアップする「健口体操」 口のまわりには3つの唾液腺があります。 唾液を分泌させるにはこの3つの唾液腺を刺激することが何よりも大切。 ベロの下側にある舌下腺を刺激する体操 「パタカラ体操」 「パ」「タ」「カ」「ラ」を10回ずつ発音する。 この4文字の発音で舌全体が動く。 舌下腺が刺激され唾液が分泌される。 顎の下にある顎下線を刺激する体操 「口顎体操」 口を閉じたまま頬を大きく膨らませる。 今度は頬をすぼめる。 口を大きく開けて2秒カウントする。 ゆっくり口を閉じる。 耳の下にある耳下腺を刺激する体操 「耳下腺マッサージ」 3本の指で奥歯の上を両手で押さえる。 円を描くように10回まわす。 健康な方は1日1回行えば唾液量低下を予防できる。 乾燥が気になる方は1日3回を目安に続ける。 1~2週間続けると効果が出てくる。 食事の前にやるのが効果的。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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