形式的なことを重要視する地域
はんらの夫、ノギさんの実家は、韓国の慶尚北道というところの田舎にある。この慶尚北道というところは、韓国で有名な、保守的・封建的なところである。韓国では昔、男性は「勉強する人」、女性は「農業・家事・育児など、働く人」だったそうで、その風潮がそのまんま残っているような地域である。だから、いろんな労働は女性の仕事、という風潮である。男性は座っているものなんだそうである。男性にとっての天国のようなところか?!?(^^;)韓流スターのリュ・シウォンの実家は、慶尚北道の中でも特に保守的・封建的で有名な、安東というところで、彼は本家の息子だそうである。間違っても、彼と結婚したいなどと考えないほうがいい。はんらは長く、慶尚北道や、その隣のテグ市に住んでいたため、韓国とはそういう国なのだと思っていた。3年半前、忠清道という、女性の地位の高い(?)地域に引っ越してきて、まるで外国に引っ越して来たような気分になった。昨日の日記に書いたように、慶尚北道のほうでは、嫁の苦労は関係なく、形式的なことを重んじるため、うちの子供のトルジャンチ(1歳の誕生会)には、百何十人というお客を招いた。遠くの親戚まで全員、来た。大変だったのは、1999年頃、祖母と舅が亡くなったとき。最近の人は、病院でお葬式を出すために、病院で臨終を迎えようとするだろうと思うが、祖母と舅は、家でお葬式をするために、わざわざ臨終の前に、自宅にお連れして、自宅で亡くなった。そのお葬式には、封建的な地域らしく、村人全員、親戚全員、ノギさんの職場の人が全国から、ノギさんの子供の頃から今までの友人全員、家族の職場の人も全員、という勢いで、何百人という人々が来られた。で、その方々のお食事を、嫁たちが全部準備するのである。豚を何頭か屠り、外で、高さ、直径ともに1メートルくらいあるでかい鍋にスープを作り、ご飯も直径1メートルくらいある釜で炊き、庭一面にビニールを敷いて、村の公民館から借りてきたテーブルを20脚くらい置いて、あとは嫁たちがひたすら、料理を運び、片付け、皿洗いをし。。。というのを、丸2日間やった。(やらされた)というのは、韓国では、遺族が悲しまないように(?)、お客が夜通し、いてあげなければならないんだそうで、お客さんたちが、夜通し、花札なんかをして、飲み食いしているのである。だから、嫁たちも寝れない。遺体のあるお部屋でも親戚中の誰か男性が、夜通し付き添っている。さらに、嫁たちには他の仕事もあった。有名な?「泣き女」役である。お客さんが来て、お焼香するときに、横に立って、大きな声で「アイゴー、アイゴー!!」と、大きな泣き声を出さなければならないのである!そういう大変な状況の中、はんらは、舅のことを思って、涙を流す時間も余裕も無かったし、舅のことをしのぶ余裕も無かった。働くばかりで、亡くなった人をしのぶ余裕も無いお葬式って、どうよ?!?と思ったが、ノギさんに言わせると、「それがいいんだ。」そうだ。悲しみを紛らわせ、悲しみを忘れるために、わざと忙しくするのが葬式なのだと言う。。。日本人のはんらには「変なの!!!」としか思えなかった。だって、遺族は忙しくて、誰も亡くなった舅のことなんか考えてる余裕が無いし、お客さんはみんな、お酒飲んで花札して、ドンちゃん騒ぎやってるの。。。誰も悲しんでいない、お葬式。。。。。。。???はんらの姑は、とても思いやりのある人で(ご自分も苦労されたため)、「私は絶対、病院で死ぬからね!」(病院で亡くなると、病院で葬式を出すため、料理などする必要が無い)とおっしゃってくれる。はんらは、「お義母さん、ホントに頼みますよぉ~!!!」と言っている。(^^;)はんらが今、料理を始め、家事が大嫌いなのは、慶尚北道にいた時に、もう一生分の家事をやってしまったため、と思っている。