-The Lost 10 days -
ロジャー・ベーコン(1214~1294)は13世紀の博学者で、オックスフォード大学とパリ大学で学び、その博識ゆえドクトル・ミラビリス(驚異博士)と呼ばれるほどでした。 ダ・ヴィンチより200年、ガリレオより300年も前に生まれながらすでに彼らの発想を持っていたのです。彼は死の直前1292年に最後の論文を書きました。 シーザーは誤差の大きかったローマ暦に変えて、有名なエジプト暦を元にしたユリウス暦を作り、365日の平年と4年に一度訪れる366日の閏年が規則正しく繰り返されることになりました。 ロジャー・ベーコンはユリウス暦の誤差を追及して、毎年11分14秒ずつオーバーすることを発見しました。 だが彼の発見は当時受け入れられなかったばかりか、狂人扱いされ、教会により投獄される始末でした。 しかし死の間際になって彼は論文を残したのです。 当然認められることもありませんでした。 彼の指摘どおりユリウス暦が改定されたのは死後300年近くも後のことでした。 グレゴリウス13世は勇気をもって1582年に暦の修正に踏み切りました。 ユリウス暦がはじまって以来、1582年10月4日をもって10日間進んでいることがわかりました。 10月4日が終わるとヨーロッパ中の鐘が鳴り渡り翌日は10月5日ではなく10月15日になったのです。 ベーコンに耳を貸さなかったがゆえ、キリスト教国の民は瞬時にして10日間を失ってしまったのです。それが421年前の今日10月4日だったってわけ。