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カテゴリ:研究者のつぶやき
久々に、宇宙物理の話をします。
太陽系は丸くなかった。 本当は、オリジナルのScienceの記事をあたりたかったのですが、見付けきれなくて、スウェーデン語の新聞からのダイジェスト版を持ってきました。 まぁ、ようやく、ボイジャーのデータ解析が終わったみたいで、ボイジャーは1号、2号とも、『ターミネーション・ショック』と呼ばれる太陽系の外側境界を通過したと、結論付けられると出ています。 ターミネーション・ショックと言うのは、ボウ・ショック(bow shock)のようなもので、例えば、流れのあるところに障害物(話の単純化のために、簡単な形状の”円筒形”とかとしましょう)がある時に、その障害物のまわりに、流れが異なる『境界』ができて、境界の外側では流れの元の速さが保たれるものの、境界から境界内側に向けて、流れが乱され、さらに流れが減速される現象が見られますが、その境界が「ボウ・ショック」。 ターミネーション・ショックは、流れを閉じ込めるような形で障害物が存在する時に、その障害物と接するところ(境界)で生じることになります。 普通は、太陽系領域(heliosphere、ヘリオスフィア)のなどの天体系境界にしか使わないようですが・・・。 ・・・ところで、記事の内容に戻って。 ボイジャー(2号)のデータを解析した結果、ヘリオスフィアは球形でなく変形してるらしいです。まるで、太陽風に晒されて球形を保てない地球磁気圏と同じように。即ち、太陽風を受けている昼側磁気圏は押しつぶされて、夜側は逆に”吹流し”的になっている。。。 これは、面白い結果だと思います。早く、オリジナルにあたって、どういう議論を展開しているのか、確認したいと思います。 ~余談~ スウェーデン語のダイジェスト版で、気になる点が。。。私のスウェーデン語がまだ充分でないのか、それとも記事を要約した人の間違いか、確認するためには、やっぱりオリジナルにあたるしかない! 気になる点とは、地球磁気圏の太陽風があたる側(つまり、磁気圏の外側)から「ボウ・ショック」、太陽風が超音速から亜音速に減速されかつ擾乱を受ける領域が「magnetosheath(マグネトシース)」、そして、磁気圏プロパーとの境界が「magnetopause(マグネトポーズ)」となっていますが、ダイジェスト版での説明では、太陽系領域内側から、「ターミネーション・ショック」「ヘリオシース」「ヘリオポーズ」と、地球磁気圏とはまるで順番が違っていること。 すーごく気になるので、明日朝一で図書館で調べてきます。 私の以前の指導教官であった戸塚洋二先生がお亡くなりになったと、神岡グループのスタッフからスウェーデン時間で10日朝に連絡を受けました。 ショックで暫く言葉をなくし虚脱状態に陥りましたが、今はただ、先生のご冥福を心よりお祈りしたいと思います。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2008年07月11日 04時17分30秒
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