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ここ数日、立て続けに宇宙の物理の話を耳にしています。・・・と言うわけで、今日は物理の話をちょっと。

上で、「宇宙""物理」としたのには訳があって、この話の導入として、まず:

日本語で言う宇宙物理は、英語で言うところの、astro (particle) physics(天体(粒子)物理学)や、astronomy(天文学)とfundamental(又は、high-energy) particle physics(素粒子物理学とか高エネルギー物理学)の融合みたいなcosmology(ただし、日本語では宇宙論と呼ばれています)への指向が強いと思います。

私の専門は、スウェーデンではspace physics(訳したら、宇宙物理になってしまいますが)となっていて、astro(particle)physicsでも、astronomyでも、cosmologyでもありません。従って、以下の話は、宇宙の話で、かつ、物理の話だけど、私の専門(スウェーデンにおける、space physics)ではない、しかも、厳密に言ったら、宇宙論のテーマに属するけれど、もっと包括的だと私個人は考えるので「宇宙の物理」とした訳です。


1.暗黒物質を検出せよ!
中日新聞記事
岐阜新聞記事
朝日新聞記事

結局、どの記事も同じ内容になってしまっているのですが、暗黒物質(dark matter)って、要は光らないもしくは光っていても、地球上からは観測・検出の閾値以下のために観測・検出されない、宇宙に満ちている(と思われている)、現象論的に重量のある物質のことです。ただ、最近は、暗黒物質だけではさらに宇宙の全質量を説明できそうにないから、暗黒エネルギー(dark energy)まで登場しておりますが。。。この辺になると、物理屋である私にも、SF(サイエンス・フィクション)の世界だわと言う感じがあります、正直。

と言うのは、暗黒エネルギーになると、相対論(注:と言う言葉くらいは、皆さんも聞いたことありますよね?アインシュタインが提唱した理論です。有名な数式はE=mC^2で、質量は、相対論的な枠組みで、エネルギーに等価であることを示しています)が適用できる宇宙空間では、質量をエネルギーに置き換えることが出来るので、暗黒物質の代わりに暗黒エネルギーを考えることが可能ですが、そんな宇宙空間はものすごーーーく遠い、遠銀河にあって、現時点では観測・検出限界ぎりぎりなので、検証はものすごーーーく難しいのです。

地球上で、(素粒子物理学から要請される)暗黒物質の検出も相当に難しい訳ですが、地球上でも唯一検出できるとされる素粒子物理学から要請される暗黒物質が”無い!”と分かれば、暗黒物質=天体物理学・天文学から要請されるもの=とても小さい白色矮星や、光の弱い褐色矮星(例えば、太陽になり損ねた木星など)等となるので、割合話は簡単になります。


2.重力の不思議ー重力子(graviton)は検出できるか?
SVTの科学番組(オリジナルは、BBC?)

世の中には、物理学的に4つの力があります。重力、電磁気力、(量子力学的な)強い力と弱い力がそれらです。ちょっと専門的ですが、電磁気力と強い力、弱い力の3つの力は量子論的に統合される力で、量子電磁気学と言う物理学として確立しています。で、残るは、重力。

その重力を、量子論的に論じたものが、重力子(グラヴィトン)となる訳ですが、アインシュタインの相対論(重力理論を含む)では、この重力子と言う概念は出てきません。と言うか、相対論と量子論は(現時点で)独立した理論と思われていて、それらを、電磁気学と量子論で成功したように、量子論的相対論として融合させ、理論的に研究されているのが、今の現状です(正確には、数学的理論研究の途上であり物理学的には確立されていません)。重力子はその理論的研究の中で生まれた概念です。

上記のテレビ番組は、古典論的な重力=相対論の検出を地球上で行おうとしているのを取材したものですが、結局は、古典的重力(場)を検出するのは、相対論の正当性を検証することなので、量子論者にも実証が待たれるテーマな訳です。


・・・おっと、現実に戻って。これから、子供達を保育園まで迎えにいかなければならないので、これにて。

(小さい子達を持っていると、宇宙論研究なんて絶対出来ないと思っています。地球磁気圏なら光速で地上に戻ってくる=”瞬時に”戻ってくるのは可能だけど、遠宇宙では、絶対に無理ですわ~)






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最終更新日  2008年09月03日 19時39分00秒
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