Story of 阿修羅&カルティエ&吉岡デザイン
上野の東京国立博物館で開催中の『国宝 阿修羅展』と吉岡徳仁さんが監修した『Story of... カルティエ クリエイション めぐり逢う美の記憶』を観に行ってきた。上野駅近くのビュッフェでハヤシライスを食べてから国立博物館に向かって歩いていると修学旅行の中高生をあちこちで見かけた。ゴールデンウィークは相当混雑していたので避けたが、同じ事を考えた人も多かったようで昼頃に門の前には阿修羅展60分待ちと書かれていて、日傘が貸し出され紙コップで水が飲めるようになっていた。仕方なく並んで待ったら40分弱ぐらいで中に入れた。第1会場に入るとまずは興福寺の創建に関わる遺物があり、マナーの悪い人に強引に押されたりした。阿弥陀三造像と厨子が別々に展示された場所を過ぎると、4月19日までの展示だった三体を除く八部衆像と十大弟子像のコーナーがあり、それぞれが独特の表情をしていて見応えがあった。壁に置かれた小さいモニターに阿修羅像の映像が上映されている通路を抜けると、阿修羅像の360度展示の場所が一段高いところから見おろせるようになっていて、阿修羅像の周りは凄い人で係の人が少しずつ時計回りに移動しながらご覧くださいと言っても、動かずにじっと留まったままの人が多く、そこにさらに人が集まって来るので、簡単には近くに寄れない状態だった。係員が数人がかりで移動を促している中で、少しずつ遠くから近寄っていって何とか観覧したが、生身の人間ぽさと人間離れした部分とが独特のバランスで表現されていて、真横や後ろから見られたのは貴重な体験だった。第2会場では「中金堂再建と仏像」と題して、鎌倉時代の薬王・薬上菩薩像と四天王立像、釈迦如来像頭部、仏手などと、再建される中金堂の20分の1模型とバーチャルリアリティ映像が上映されていた。四天王像それぞれの足下には鬼が踏みつけられていて、それぞれが凄まじい表情をしていたのが印象的だった。会場の平成館をあとにして敷地内のアジアンカフェでマンゴードリンクを飲んで休憩していたら、足下まで雀がやってきて食べるものを探しながら、ぴょんぴょんと跳ね回る様子が可愛かった。『Story of...』を開催している表慶館へ向かうと、阿修羅展の方は年配の女性が多かったが、カルティエの方は若い女性ばかりで、博物館の展覧会には似つかわしくないケバい雰囲気の若いカップルもいたりした。暗い部屋の中で照明に照らされて光り輝く装飾品がキラキラ輝いてまぶしく、雑誌などでも紹介されていた吉岡さんデザインによる、装飾品の上や背後の特殊ガラスに貴族や富豪、映画スター、芸術家などがカルティエの貴金属を身につけた姿や、作られた時代にまつわるエピソードなどを紹介した映像を映し出す展示形式は、『Story of...』のタイトル通り一品一品の背景に様々な歴史と物語がある事を感じられるようになっていて、ブランドがブランドたる歴史と伝統を時空間の「奥行き」によって演出していた。二階から一階に下りると、工房の作業台が置かれていて、一方からは透過ガラスに投影された作業する職人の姿が見え、もう一方からはその姿は見えず、手前に画面があって、ジュエリーが作られて行く様子を紹介した映像が上映されていた。過去の歴史を振り返る暗めの照明の展示のあと、最後の部屋は白い壁の明るい空間で、吉岡徳仁氏のデザインによる新作の雫をモチーフにした香水の器と、波打つ水をモチーフにした透明な椅子が展示され、部屋の隅から新作の香水が香り、椅子は座れるようになっていて、吉岡さんらしい素材を生かした新鮮なアプローチの作品が、過去から未来へと繋がっていく展覧会を締めくくっていた。展覧会場の出口の脇に今回の展覧会のメイキング映像が上映されていて、立ったまま見ている人が多かったので、これも展示の一部として座って見られる場所があれば良かったのにとも思う。上野から池袋に向かい、まだ行ったことのなかった西口地下ののEchika池袋に行ってみた。地下鉄の駅改札周囲の地下道に、若い女性向けっぽい雑貨や衣料品とお菓子の店が並び、奥にはワインバーやカフェがあって、お菓子やアイスの店には、立教の学生らしき女子大生や女子高生達が大勢いた。池袋西武デパートの喫茶店に入り、オレンジとチョコのケーキを食べてアイスコーヒーを飲んで、ちらっと服を見てから帰った。