カテゴリ:Midnight
どこかから風が吹く。
それはどこか切なくて、どこか爽やかで、 その風に吹かれながら、時々風の吹く彼方に思いを馳せたりもした。 ふいに空気が変わったその日、道を歩いていたら、一陣の風が通りすぎる。 あの風だった。 立ち止まり、風の来た方向を、風の向かう方向に目をやり、 最後のその二つを思いながら空を眺める。 空には、オレンジ色の秋の雲。 ヴィオロンの 節(ふし)ながき啜泣(すすりなき) もの憂き哀しみに わが魂を 痛ましむ。 時の鐘 鳴りも出づれば せつなくも胸せまり 思ひぞ出づる 来(こ)し方に 涙は湧く。 落葉ならね 身をば遣(や)る われも、 かなたこなた 吹きまくれ 逆風(さかかぜ)よ。 ポール=ヴェルレーヌ 堀口大学訳「秋の歌」 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005.09.16 01:00:08
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