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2005.06.24
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テーマ:お勧めの本(7394)
カテゴリ:お役立ち情報系
視察2日目と3日目はロンドンに滞在。
この15年で奇跡的な発展をとべたサウスバンクの開発について、住民主導の開発をなしとげたNPO(イギリスでいうチャリティー)「コインストリートビルダース」の代表にお話をうかがった。

*今考えるとこの人から直々に話を聞けたというのも、かなりすごい話だ。

ヘンかわ2005/05/26『人のお金でヨーロッパ行って来ます*EU・日本創造都市交流2005 』

+++

○コインストリートビルダース
Coin Street Community Builders (CSCB)代表
イアン・ツケットIain Tuckettさん

ヅは、その土地であった人たちがその土地の出身だった場合、その人のお父さんの職業を聞いてみたりしてみた。

2日目のランチはボローマーケットのフィッシュ。
イアンさんのとなりだったので、さっそく、彼のお父さんの仕事を聞いた。
はじめは、鉄道関係の労働者だったらしいのだが、なぜか、テニスプレーヤーに転身。
ウインブルドンにまで出場した選手だったということで、晩年はテニスラケットにサインをして販売して食べていたというんだから、驚いた。

ちなみに彼も両親も、この貧しかったサウスバンクの出身ではなく、昔の彼女に誘われて、「家賃が安い」ということで、移り住んだ場所だったそうだ。

住民主導の奇跡のコインストリートの開発に成功した彼も、自分で「ミドルクラス」というくらい、いまやけっこうなお金持ち。
宿敵?サッチャーさんの娘さんも住んでいたという、テイトモダンの目の前の高級マンションにお住まいだそうです。

+++

○ロンドンのコインストリート開発裏事情


後日、図書館で『「場所」と「場」のまちづくりを歩く』という本を発見してびっくり。
最後のほうは、イアンさん批判で終わっている。
サウスバンクのシンボルタワー「オクソタワー」をめぐっていろいろあったらしい。

イアンさんが、このタワーの最上階に高級レストランをおいたことで、かなりの批判を浴び、当初の仲間が離れていったそう。
「ツケット氏は、大企業の絡むサウスバンク企業グループに近寄りすぎた」「住民のための場ということを忘れた」ということで、かたや、イアンさんは、安定した収入を得るためには、高級レストラン事業も必要と押し切ったらしいです。

イアンさんが、わたしたちを最後に連れていってくれたのが、オクソタワーの屋上。

その空間のほとんどは高級レストランで占められ、エレベーターホールの幅の小さな自由空間で、彼は、「この空間があることで、金持ちだけでなく、だれでも自由にこの眺めを見ることができます」と説明してくれたけど、あれは「自分の娘の1才のお誕生日を(レストランができる前の)屋上を借り切って盛大にやった」という今やミドルクラスのイアンさんの「言い訳」の場だったのでしょうか?

楽天ブック

「場所」と「場」のまちづくりを歩く-イギリス篇・日本篇

著者: 岩見良太郎
出版社:麗澤大学出版会/広池学園事業部
ISBN:4892054747
発行年月: 2004年 07月

苦闘するイギリスの「まちづくり」の中に新たな「まちづくり」の可能性を求めて、気鋭の都市計画研究家が、英国の諸都市を巡歴し、足で書いた思索ノート&エッセイ。新鮮な「都市計画論」にして、異色の「イギリス入門」書。
「日本のまちづくりを考える」を併載。

【目次】
第1部 まちづくりから見たイギリス社会(イギリス人・イギリス社会/イギリスユートピアの系譜/イギリスの都市計画制度と民主主義/サッチャーリズム下の都市再生 ほか)

+++

○関連サイト

武蔵社会学論集『イギリスにおけるローカル・デモクラシーの活性化
  ―新しい地方政府と市民の関係― 』

2.ローカル・デモクラシーの担い手としてのNPO活動


ロンドンタウン情報『オクソタワー・レストラン』
<「背広族」(シティーのホワイト・カラー達)にとっては接待にうってつけのレストラン。他の人達には少々派手な、サービスが行き届きすぎのレストランかもしれない。>

*どうやら、シティーのホワイトカラーというのは、ロンドンの人たちにとって、「リッチでスノッブな連中」というイメージらしく、オクソタワーに彼ら専用のレストランを作ったということは想像以上にやっかいなことなのかも?

oxotower公式サイト

++

○今後のサウスバンクの開発と住民

イアンさんは、「今住民がほしがっているものは、公共プールなどの屋内レジャー施設。それにはお金がかかるので、今後は住民のためのコーポラティブハウス(コアップ)だけでなく、高級フラットも建設してゆく」といっていたが、その第一弾がオクソタワーのレストランだったのかな?

だとすると、低所得でも住みやすい住環境を得ることのできた人たちが、今一度、ヒエラルキーの中に戻されてしまうのではないか?
=住民のための理想的な家だったはずが、高級フラットができることで、結局は比較されることにより「低所得者の公団」になってしまうのではないか?という疑念が持ち上がるのだが、どうなんだ?

本当に住民の次の願いは「屋内レジャー施設」なのか?
住民てだれよ?

NPOの代表者が、成功をしたということで、お金持ちになっているちゅうのも、よくわかりません。

+++

○コインストリートのキーワード『ソーシャルエンタープライズ』

楽天ブックストップページ
社会的企業(ソーシャルエンタープライズ)--雇用・福祉のEUサードセクター

著者: カルロ・ボルザガ /ジャック・ドゥフルニ

出版社:日本経済評論社
ISBN:4818815586
発行年月: 2004年 07月

「社会的企業」という新しい概念から、EU全15カ国の事例を詳細に分析、ポスト福祉国家におけるサードセクターを再定義して、経済と社会の転換と再生を理論的実証的に展望する意欲作。


+++

○住民ってだれだ?

住民主導の開発をすすめてきたNPO「コインストリートビルダース」の代表、イアンさんは、ヅの英語がまちがっていなければ、この地区の出身ではないといっていた。

当初、この活動を立ち上げたのは3人。
うちのひとりはイアンさん。
うちひとりは政治家になって活動を支えたという、現在ボローマーケットの開発に関わっているGeorge Nicholsonさん( chair of trustees)。

そんな有能な若者たちが集まって、結局はベンチャーをしたかった…ということはなかったのか?

当初の3人のうちのもうひとりが誰なのか?
そしてそのうちだれかこの地区の出身者がいたのか?
彼らがこの地域を開発するモチベーションはなんだったのか?

なんてことが気になるところです。

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Last updated  2005.07.02 03:44:41
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