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2005.06.25
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今回の視察旅行中、フランスでのキーワードは『アソシアシオン』。

日本のNPOと任意団体全般(サークルも含む)をさすらしい。

フランスでアソシアシオンに関する法律ができたのが、なんと1901年!
100年以上も前というのだから、市民による市民のための政治の伝統を感じました。
*日本にNPO法ができたのは1998年。
 いまだ内容もさだまっていません。
 なので、オーバもNPOは名乗っていますが、法人格は取得していません。

+++

○パリを遊びつくせ!
お店・雑誌・レーベルを作った体験的カルチャーシーン


横浜市立中央図書館の検索でひっかっかった中で一番軽そうだった本。

でも、よんでみると意外にまじめで実践的で、わかりやすいフランスカルチャー事情ガイドでした。

実際にパリでいろんな活動をしている日本人の女の子が、自分や友人たちの生き方を紹介しながら、フランスでアーティストととして生きる方法を教えてくれています。
フランスでは、日本とちがって、アーティストもりっぱな職業。
アーティストが社会で生きてゆくための、いくつかの保障を受けられる選択肢があり、(どちらにしても貧乏みたいだけど)その具体的な内容がわかるようになっています。

パリを遊びつくせ!--お店・雑誌・レーベルを作った体験的カルチャーシーン

著者: 石橋美砂 /にむらじゅんこb.

出版社:原書房
ISBN:4562032898
発行: 2000年 03月

あの不況の国でアーティストはいかに生計をたてるか?
バスティーユの名物ショップ「BIMBO TOWER」をオープンさせたニッポンの女の子たちがレポートするいちばん熱いパリ!
リアルでディープなパリをレポート。

BIMBO TOWERサイト
<PARIS EXPERIMENTAL MONDO SHOP VS THE JAPANESE UNDERGROUND>

フランスDVDマガジン
<フランス現地でのインタビューを集め収録した日本初のDVDマガジン。>
*第4号では、Bimbo Towerのフランク・ドゥ・カンゴ氏のインタビューやFete de la musique音楽祭の模様がおさめられているみたい

+++

○アソシアシォンでいこう

『パリを遊びつくせ!』の中には、「アソシアシォンでいこう」というタイトルのページがある。
その切り口は、かなりポジティブ。

「税金高くてお金もなくて何をするにも貧乏人になってしまうフランスだけど、アソシアシォンになってしまえば、面倒な会計も会計士にやってもらえるし、資本がなくてもいろんな援助を受けて活動ができる。」
「わたしは日仏オルタナティブマガジンを発行するためにアソシアシオンを作りました。」
「銀行との取り引きもできるし小切手も作ってもらえました。」
「国立図書館から印刷代と紙代くらいの援助を得ることができました。」
「売れる本しか並ばない資本主義経済体制からフランス文化を救っているように思えます」
と続きます。

+++

○アソシアシオンの不思議

上記のそれは、「何か団体活動をするには、ぜったいに政府に登録をしなくてはいけないんだ」とフランスで、アーティストから聞かされたイメージとはちがいます。

多くのアーティストたちは、給料を得るために自分の事務所として「アソシアシオン」を立ち上げるようです。
が、アソシアシオンの必須人材である代表、会計、監査は、無償でなくてはいけない決まりになっているらしい。
なので、自分の団体の保証人という感じで、仲の良い友人に代表になってもらい、自分はそのアソシアシオンのスタッフという形で登録して、給料を得ているということ。

だけどもし万が一、アソシアシオンに「何か」があったときには、代表が責任ととらなければいけない。
ただの小さなサークル的な集まりとしてのアソシアシオンであれば、もともと無償の仕事なので、代表=やりたい人ということで、なんの問題はないかもしれないが、お金が絡んできた場合には、アパートを借りる時の保証人同様、いくら親しい仲でも面倒なことになる場合も多いのでは?
と危惧するのですが、どうなんですか?

労働政策研究・研修機構『フランスのNPO』
<アソシエーションの活動では、「国や自治体との関係のあり方」がひとつのテーマとなる。この問題は、フランスでも過去20年ほどさかんに議論されてきた。そこで一般的な考え方とされるのが、「パートナーシップ」である。>

<届出をしなくても非合法ではないが、法人格を取得できず法的な権利も取得できない。また、税制上の優遇措置はほとんどない。>

*必ずしも届け出が必要なわけではないみたい…


+++

○そのほかアソシアシオン関連書籍

市民のアソシエーション--フランスNPO法100年


著者: コリン・コバヤシ

ISBN:4872337182
発行: 2003年 07月

グローバリゼーションに対抗するために今、市民として動き出すとき!

市民社会とアソシエーション--構想と経験


著者: 村上俊介 /石塚正英

ISBN:4784514368
発行: 2004年 02月

アソシエーション革命へ--理論・構想・実践


著者: 田畑稔

出版社:社会評論社
ISBN:4784514198
発行: 2003年 03月

アソシエーションが優勢な社会への社会の変革、アソシエイティヴな生き方への自己の変革の現実的諸条件を示した。

+++

○アソシアシオン関連サイト

ハルコの「プレアデス国際短編映画祭」パリ日記『プレアデス2005第一回ミーティング』
<日本ではまだまだNPOが無理なく活動できるシステムが確立していない>

神奈川県職労『自治の原点としてのアソシアシオン』1
神奈川県職労『自治の原点としてのアソシアシオン』2
<絶対王政下の中央集権的な統合システムに対抗してできたアソシアシオンは、制度的に確立された団体であり、課題別に個人が集合し活動する点でNPOよりも、住民自治の原点として扱うのが正当>
<地方自治破壊、市場至上主義の流れに対して「アソシアシオン社会」が対抗軸>

石塚秀雄の海外ワーカーズコープ漫遊記『フランスの非営利組織-社会医療のウニオプス』
<ヨーロッパでは、非営利組織や協同組合を括るものとして社会的経済という言葉が使われています。これは米国のNPOとは意味あいも歴史も異なるものです。>

アソシエーター・トレーニング<4> アソシエーションの歴史
<労働者たちが自主的に生産者として集まること。別の言葉で言えば、生産者協同組合ですね。それぞれがお金と技術などを出し合って、一つの事業体として経営していく、ということです。>

社会思想史の窓『私のアソシアシオン研究を振返って――ある講演の記録』
<私はアソシエーションは関係性であって実体的なものとしては捉えていません。あくまでも人と人との関係、あるいは人と自然との関係であります。また関係はつねに動いているものでもあるわけですから、運動でもあります。>

ヨリ・アイ アソシアシオン
<ビデオ会議技術を使い、日本の伝統的な「寄り合い」が持っていた共同体の知恵を21世紀の世界に生かす活動>

アソシアシオン・シューベルシアードとは?
<パリのかけだしアーティストを応援するために発足>

ウタカタノヒビ『11月11日』
<アソシエーション! 滞在一年経ってないのにフランスでアソシエーションとか言っている人は渋谷でITとかマルチメディアとか言ってる夢見がちな大学四年生と同じような人種です(思い切り偏見)>

+++

○なぜ今アソシアシオン?

ヅがフランスに滞在していた80年代当時、日本人からも仏人からも「アソシアシオン」などという言葉は聞かなかった。
だけど今はだれでも口にしているご様子。
調べてみると「対資本主義」「対グローバリズム」ということみたいなので、やはり90年代にEU統合したことが起爆剤だったのかな。


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Last updated  2005.07.03 23:19:58
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