旅の空はうわの空 ～空感工房 ～

今朝未明のこと、
飲み会が終わり、店を出た。

「がちゃーん」

酔ってじゃまくさくなったのか、
かなり年上の知り合いが、
自分の自転車を横からぐわしっとかつぎ上げ、
ブロック塀に向かって投げつけていた。

しかも新聞配達をするような超ヘビー級のチャリだ。

いったいどんな筋力をしているのだろう。
僕は、やれやれ（汗）と思って彼のところへ行く。

しかし、投げ終わった彼は、
「これだけは、なくせないんだ」という。
彼は、ごくごく普通の黒い傘を
両手で大事にかかえて持っていた。
聞くと、亡くなった同僚からもらっただという。

酔って「釣りはいらねー」的にお金を払いすぎたり、
マフラーを何度も忘れたりする人だけど、
そのシーンは、
子どもが大事なものを持っているかのよう。

ピュアな酔っ払い、ええやんええやん。
素敵な雨上がりの夜に、心動かされてしまった。