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午後、海が見える丘に登った。 急な岩場の上に小高くそびえる丘には、 草が背よりも高く生え、 人が通った後が、かすかに道になっている。 人がやって来るような所には、到底思えない。 草は枯れ、秋の雰囲気。 西日の海を見る。 「いい」とか「悪い」とか価値基準が奪われる。 全てが気分しだいの瀬戸内海。 カメラをカバンのポケットにしまおうとすると、 何かに当たっている。 手で探って見ると、ボールペンみたいなものがあった。 単眼鏡だった。 夏に実現できなかった自転車の旅で使おうと思っていた物だ。 その銀色のシンプルな筒を引っ張り出す。 右目に当てて、少し両手でスライドさせてピントを合わせる。 見えた! 向かいに見える島に泊まっている漁船、 海岸沿いの道の白いガードレール、 意味もないのに、子どものように何でも見たくなる。 ただ、見るのに夢中。 そして…、目に悪いかもと思いながら 西に傾いた陽が当たるさざなみの海を見たくなる。 悪そうなものは見たくなる。 さっきから一番気になっていた。 覗いてみる。 すると、 きらきらきらきらあちらこちらで オレンジと黒の粒子がランダムに輝く。 覗いているのが、単眼鏡か顕微鏡かがよくわからなくなる。 光の粒子というものは知らないが、 まるで、そういったものが見えたかのよう。 風はあくまで心地よい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Nov 10, 2007 03:28:30 AM
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