具体的なお茶の話に移る前に、まずは「メチル化カテキン」のことについて整理しておきましょう。
その前段として、カテキンの話を。
<カテキンについて>
お茶に含まれる特徴的な成分の1つがカテキンです(ポリフェノールの一種)。
品種や時期によって違いますが、一般的には8~20%ぐらい含まれていると言われます。
お茶の渋みの元になっている成分ですが、抗酸化作用や殺菌作用など有益な効果が認められることから、最近、研究が進んでいる成分です。
某トクホ飲料などの
高濃度茶カテキン配合!
とかで、最近、よく目にしますよね。
さて、一般にカテキンという場合は、いくつかの物質をまとめてカテキンと呼んでいます。
お茶に含まれるカテキン(茶カテキン)として有名なところでは、
エピカテキン(EC)
エピカテキンガラート(ECG)
エピガロカテキン(EGC)
エピガロカテキンガラート(EGCG)
というものがあります。
下の方へ行くほど、含まれる量が多く、渋みも強めに。
そして、成分が変化しやすい傾向にあります。
<お茶の発酵について>
ちょっと脱線。
「成分が変化しやすい」と書きましたが、これを上手く使っているのが紅茶や烏龍茶などの「発酵(酸化発酵)」です。
カテキンなど、お茶に含まれるポリフェノールは、酸素と結びつく(酸化する)と他の物質とくっついたりして、全く別の物質に変わります。
具体的には、テアフラビンなどの赤い色素になったり、香りの成分に変わったりします。
お茶を発酵(酸化発酵)させると色が変わったり、香りが増える、という原理はこれです。
元々含まれているポリフェノールが、別の物質に変わることで起こっているわけです。
なので、緑茶のように、生葉の成分をそのまま活かしたい場合は、どうするか。
すぐに殺青という工程を入れ、酸化の原因になる酸化酵素を加熱して壊します。
烏龍茶だったら、香りを見ながら、程良く酵素を働かせたのちに、殺青する、と。
各地のお茶の味の違いも、これである程度、説明できるようになります。
たとえば、雲南のお茶などは品種的にポリフェノール(カテキンなど)の量が多い。
そうなると、緑茶にすると渋めになりがちです。
が、紅茶になると、色も鮮やかで、とても甘くて香りの良いものになったりします。
それは、渋みの元であるポリフェノール(カテキン)が、発酵によって減ったので渋みが減少。
色素や香りの物質に化けるものが多かったから、色も香りも濃い、と説明できるわけです。
一方、日本のやぶきたなどの品種で作った国産紅茶。
香りが海外の紅茶に比べると控えめだったり、色が薄めだったりします。
それはポリフェノールがそもそも少ない品種で作っているからなのね、と説明できるわけです。
中国茶は「発酵」を理解するのが鍵になるのですが、紋切り型の説明ではなく、お茶の成分の世界にもちょっと踏み込むと、より分かりやすくなるのでは、と思います。
続く。
<目次>
(1)凍頂烏龍茶騒動を振り返る
(2)カテキンの話
(3)メチル化カテキンの話
(4)中国・台湾の研究
(5)淹れ方・飲み方は?
(6)実際に試してみた(飲料&飴編)
(7)実際に試してみた(粉末&リーフ編)
(8)まとめ
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