テーマ:新撰組!(305)
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河合耆三郎は往生際が悪かった。だが、それが本来自然な態度。今にでも飛脚が届くのではないかと淡い望みを抱く姿は実にリアルで、その等身大の感情は現代の我々にも容易に想像がつく。それだけに河合の切腹は痛々しく、心痛は重い。
観柳斎も100%私利ではなく、怒りの鉾先をすべて彼に向けるのも憚れる。切腹の理由はまったく理不尽であるが、もはや自分たちは法度から逃れられない。そのように自分たちで自分たちを規定してしまったのだ。 罪深き我が身を痛感し、島田が、左之助が激しく嗚咽する。歳三はすでにその覚悟はできていたが、我ながらあまりにも酷い決着に思わず柱に頭を打ち付ける。斎藤は悪い夢にうなされていた。すべてを悟りきっているかのようだった男も、その重みに耐え切れなくなってきている。 悲しみはどこへもぶつけられず宙を彷徨う。 受け止めてくれるべき局長はこの場にいない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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