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見終わった後、間違いなく幸せな気分になれる。だが同時に、何とも口惜しい感覚に捉われてしまう。全般的には欠陥だらけのダメダメ映画なのだ。なのにこんなに感動的な爽快感が残るのはなぜなのか。
吹奏楽部との邂逅にそもそも大いなる無理がある。ジャズバンドを結成する動機付けや、それに傾倒していく心情の表現も甘い。上達していく過程の説得力はまったくもって乏しい。「スウィング」というキーワードをもっと前面に出すべきであろう。随所に見られるありえない展開は、コメディとしての演出(イノシシ撃退など)で処理されているならば問題ないのだが、それがなされぬまま放置されるのは単なる不自然なご都合主義であり、不愉快にさえ思える。時間的制限もあるのだろうが、それにしても構成がとにかく雑すぎるのである。 しかしながら、クライマックスにおけるガールズたちの演奏がそういった欠陥をすべて帳消しにしてしまう。これがたった数ヶ月練習したにすぎない演奏とは・・・! 吹き替えなしだという話が俄かには信じがたいほど上手だ。ブラスバンド(トランペット&フルート)をかじった経験のある僕としては、4ヶ月という練習期間を聞けば、なるほどぎりぎりリアルな成果だということがわかる。さぞかし必死に練習したのだろうなということが想像され、彼女たちの頑張りには素直に感動を覚えざるを得ない、本編でも、初めて楽器に触れたのが夏休みで、演奏会本番が豪雪の冬と期間的には合致する(が、だからこそ、そのリアルさを裏付けるべき描写の不足が惜しまれる)。観客が思わず総立ちになって全員でスウィングするという展開は容易に予想できたものの、その予定調和を快く受け容れられることが嬉しい。ビッグバンドジャズの魅力、おそるべし。 この映画を見る際の心構えはただひとつ。彼女たち自身が演奏していることを事前に知ることである。それさえ知っていれば、この演奏も展開の延長線上、どうせ吹き替えなのだろう・・・などと白けてしまうことを防げる。終わりよければすべてよし、と純粋に楽しめること請け合いである。褒めているのか、けなしているかと問われれば、断然褒めているのである。 #スーパー店員の大倉孝二さん、吹奏楽部部長の高橋一生くん。「新選組!」フリークとしては、河合耆三郎や桑名藩主松平定敬を想起して思わずニヤリとしてしまう・・・よくないことだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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