テーマ:新撰組!(305)
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総合、BSに引き続き、録画したビデオも含めて4回繰り返し観たが、タイトルに「第45回 源さん、死す」と出るだけで、そのたびにぐっとくる。初回視聴時は前回の予告編を、2回目以降は訪れるその瞬間を瞬時に思い出し、今まで観てきた在りし日の源さんの人柄を思い重ねては、いずれも冒頭からいきなり胸が締め付けられるのである。
タイトルだけでここまで感情を揺すぶられるとは何としたことか。今回の話は鳥羽伏見の戦いという幕末のクライマックスともいうべき大事を扱ってはいるが、それがタイトルになるのではなく、紛れもなく「源さん」が主題であった。派手さはまったくないが人望の厚い一人の実直な男との壮絶な別れであった。 それだけに、やはりあの弾丸を弾き飛ばすCGは興醒めだ。あちこちのブログで言い尽くされているが、言及せざるを得ない。公式サイトの特集「源さんへのオマージュ」で説明してある通り、一瞬の奇跡を源さんに与える演出意図は理解できる。CGを使用すること自体も否定はしない。だが、効果的に見えてこそのCGである。あれではあまりにも仕上がりが悪く(酷なようだがこの場面に限っては小林さんの演技プランも含め)、まったくの逆効果だ。源さんの花道を飾るというなら、今こそロケを敢行してほしかった(淀千両松でやらずにどこでやる)。 だが、その後の隊士たちの演技がすべてを救ってくれた。歳三が「勇も総司もいないのにと何やってんだ・・・!」と、島田が「魂が抜けないようもっと強く抱き締めろ」と滂沱の涙。とどめは斎藤。「激烈な喪失感」とでもいうべきか、何とも言えない表情を見せ、咆哮しつつ薩摩兵に突進して斬りまくる。 他方、大阪城の勇のもとに霊となって源さんが現れるCGは、発想としては安易ではあるが、またCGかよという違和感は一瞬で、その後の源さんの語りかけがたまらなく心に響いてくる。源さんが死んだということを悟ったときの勇もまた絶妙である。涙を溜めながら微笑み返す勇に対し、深々と頭を下げ消えゆく源さん。安易だろうと何だろうと、二人が別れの挨拶を交わせたことは本当に良かったと思う。 源さんは逝った。食い詰め浪人や百姓上がりらの吹きだまりのような荒んだ新選組にあって、ひとり穏やかに彼らを見守り、父親のように慕われた朴訥な男が逝った。歳三は言う。「刀の時代は終わった」と。源さんは「寂しいこと言わんでください」と珍しく血色ばむ。源さんという縁の下の良心を失った新選組は、ますます凋落の一途を辿っていく。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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