カテゴリ:タイガー&ドラゴン
【元ネタ「芝浜」】
魚屋の熊五郎はいつも酒ばかり飲んでいる怠け者。女房に尻を叩かれて渋々商売に出かけ、芝の浜でサボっていたところ、大金が入った財布を拾った。家に帰った熊五郎は、これでもう働かなくてもいいと喜び、また酒を飲む。ところが翌朝目がさめると財布がない。女房は財布を拾ったのは夢だと言い、商売に励むよう諭す。熊五郎もそんな夢を見るなんてロクなもんじゃないと改心し、仕事に精を出し始めた。やがて商売は軌道に乗り、きちんと正月を祝えるようになるまでなった。その大晦日、女房は、例の財布を熊五郎の前に差し出す。熊五郎が財布を拾ったとき、また働かなくなるのを危惧してとっさに隠しておいたのだった。熊五郎は女房の気遣いに感謝しつつ、安心して酒をすすめる女房の盃を拒む。「また夢になるといけねえ」。 ********** 前回のSP「三枚起請」はきっちり元ネタをなぞった筋書きだったが、今回はちょっとひねりがあった。リサが財布を拾ったこと自体はサクッと処理しておいて、これをトリガーとしつつ、リサが財布の持ち主の銀次郎に一目惚れしたことが夢だったと竜二が諭すという構成に仕立てている。で、健気にまた働き出したリサが不憫になった竜二は、銀次郎と再会させる、と。う~ん、なかなか面白い。 しかも、その間に、「芝浜」に感銘を受けた虎児が、本業の取り立てに絡めつつ不器用ながら稽古していくさまやら、虎児と竜二の互いの境遇に関する感情の衝突やら、それを知り抜いた上でのどん兵衛の思いの爆発やら、メグミを巡る男たちのドタバタ恋愛劇の予感やら、てんこ盛りの内容が淀みなく進んでいく。そして、それらを最後に虎児が高座でまとめあげるのである。 いやあ、実によくできている。でも、高座の噺と劇中劇が行ったり来たりして、かつ、その筋がストーリーとリンクして進行するなんて展開が、混乱せずすんなり受け入れられるかというと・・・厳しいだろうなあ。一般受けはしないだろうなあ。視聴率、また、よろしくないのかなあ。。。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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