テーマ:『義経』(332)
カテゴリ:『義経』
久々の「義経」レビュー(苦笑)。
もはや「義経」に関しては深く考察することはやめ、なるべく自然体で受け入れることにしているが(その方が精神衛生上よろしい)、その意味では今回は素直に楽しめた。やはり物語のひとつのハイライトであるだけに、制作サイドも気合いが入っていたのだろう。さすがにちゃんとロケを敢行し(新選組!とはえらい違い)、演出も気合いが入っていた。 やはり何と言っても義経vs知盛。金粉舞う中での格闘といい、八叟跳びといい、実に美しく効果的で、伝説の一戦にふさわしい。金粉は余計だとか、なぜ相手が教経でないのだとかクレームはあるだろうが、そういう批判もこの画の前には色褪せる。 特に素晴らしかったのは阿部ちゃんの知盛。侍大将としての凛々しさ、殺陣の迫力、すべてがカッコよく、圧巻は最期。碇を抱え身体に巻き付けて背面から仰向けのまま海中に落ちて行く。歌舞伎「義経千本桜」の「渡海屋」「大物浦」にもそういう名場面(=碇知盛)があるらしいが(まだ実際に見たことがない)、それを充分意識し、そうとうこだわったシーンだったに違いない。NHKのガイド本によると義経が頼朝に追われ摂津から逃走するところで知盛の亡霊が現れるシーンがあるかもしれず、だとすればまさに「義経千本桜」の踏襲としてこのシーンはおおいに布石となるのではないか。 そして、女官たちの入水も忘れてはならない。順々に海へ飛び込むところが誠に悲哀たっぷりで、特に松坂慶子扮する時子の最期の笑みにはぐっと胸にくるものがあった。 なお、安徳帝替え玉説を採用しているが、これも「義経千本桜」に通ずるのか? つっこみどころはいくらでもあろうが、今回のように、キレイな映像だとかお気に入りの役者さんの演技だとか、良かったと思えた回は素直に讃えたい。そうすれば、今後も結構楽しめる・・・かも。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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