読レポ第1970号 カール・ロジャーズ ⑥関係の仕方における変化(7/7)
読レポ第1970号カール・ロジャーズ~カウセリングの原点~著:諸富祥彦発行:㈱KADOKWA第2章 「カウンセリングにおける変化の過程」の発見 ⑥関係の仕方における変化(7/7) クライアントは最初、他者との親密なふれあいをさまざまに合理化して避けようとする。セラピストに質問をしたり、何かの役割を演じたりする。次第にセラピストとの関係において危険を冒すことができるようになる。たとえば「私はあなたを信用していない」などとも言えるようになる。他者に深く触れる、という未知の、危険な世界に一人で入り込むことができるようになる。セラピストに対する恐怖でも、愛情でも、怒りでも自由に表現することができるようになる。自分の感情に基づいて関係を生きることができるようになる。 こうした6つの観点について、7段階のどこにいるのか、クライアントは尺度に基づいて評定される。この論文の結論として、「全体の方程式」が次のように示される。 クライアントが、このセラピストはリアル(real)である、とか、純粋(genuine)である、と思っていて、このセラピストは共感的である、と思っていて、このセラピストは無条件の関心を抱いている、と思っていればいるほど、クライアントは、よりいっそう、静止的な、無感情な、固定的で没個人的な機能の仕方(statici,unfeeling,fixed impersonal typeof functing)から遠ざかる。一方、よりいっそう分化され個人的な感情を、流動的で、変化に富み、受容的な仕方で体験していく(a fluid,changing,accptant experieninng)という特色を持つような機能の仕方に向かって変化していく。 この論文が書かれた1960年代前半以降、ロジャーズは個人カウセリングや心理療法についての本格的なリサーチはおこなっていない。エンカウンター・グループにおける人間関係や社会の変革運動へと活動の軸足を移していく。したがって、これがロジャーズが心理療法の研究においてたどり着いた一つの到達点とみなしていいだろう。と著者は述べています。 ここで言っている、クライアントとセラピストの関係は、「どんなことでも言い合える」関係が築かれた、安全な信頼関係ができていることを言っていると私は思います。 どんな事も言えるのは、自分自身の中と対話できるようになってきたからだと思います。自分軸になっていているのだと思います。自分の感情や考えを言える、気づけるようになった現象だと思います。 人は、自分軸で生きることが幸せになって行くと思います。自分軸は、わがままでは、ありません。他者に支配されない、自分をしっかり認識して選択することだと思います。 セラピーやカウセリングで自分軸が戻っていけば、幸せに近づいて行きます。私は、そう思います。