「毎日更新」読レポ第2151 カール・ロジャーズ ●『カール・ロジャーズ 対談集』
「毎日更新」読レポ第2151カール・ロジャーズ~カウセリングの原点~著:諸富祥彦発行:㈱KADOKWA第10章 これだけは読みたい!主要著作●『カール・ロジャーズ 対談集』(Kirschenbaum and Henderson [eds.],Carl Rogers Dialogues)(kirschenbaum & Henderson,1990) カール・ロジャーズがおこなったきた対談やシンポジウム、文章でのやりとりなどをまとめた本である。そのメンバーが実にすごい。『我と汝』で有名な実存思想家マルティン・ブーバー。『実在への勇気』で知られる神学者パウル・ティリッヒ。行動主義心理学者の雄、B・F・スキナー。『暗黙知の次元』で名を馳せた科学者マイケル・ポランニー。『精神の生態学』とダブル・バインド理論で著名なグレゴリー・ベイトソン。ティリッヒと共に20世紀のアメリカを代表する神学者ラインホールド・ニーバー。アメリカの実存主義心理学のリーダー、ロロ・メイ。まさに錚々たる顔ぶれで、興味をそそられるものばかりである。 19962年にミネソタ大学でおこなわれたスキナーとの対談は、1956年の対談の続編。9時間にわたる対談はすべて録音されており、最初それを公刊になっている約束になっていたにもかかわらず、スキナーがその約束を破って公刊を拒否したといわく付きの対談の記録で、この本ではじめて公開されている。前回の対談記録を収めた本は、心理学の世界で最も版を重ねたと言われているから、この対談も大きな資料的価値があることは確かである。 しかし対談集全体を通して見ると、ロジャーズがかなり損な役回りになっていることは歪めない。職業柄か、ロジャーズは対象でも、まず聞き役に回り、その後で何とか相手と理解しえる部分を探している。何とか接点を探そう。そんなロジャーズの姿勢が伝わってくる。それに対して、相手側は往々にして、ロジャーズを一方的に突き放す。「お前みたいな実践家ごとになにがわかるんだ」。超一流の学者たちの、そんなプライドが感じられる。 その最たるものが、ブーバーとの対談(1957年)この対談を楽しみにしていたロジャーズが懸命に「カウンセリングやセラピーの最中に『我と汝の出会い』が可能になる瞬間が可能になる瞬間があるんです」と訴えるのに対して、ブーバーは終始、「カウンセラーとクライアントという役割がある以上、両者は対等ではありえない」と、治療場面の客観的構造を指摘するにとどまる。そんなことは、わざわざブーバーから指摘されなくてもセラピストであるロジャーズはとうにわかっているだろうと気の毒になってしまう。 私はマイケル・ポランニーとの対談部分はすでに訳している。ぜひ、多くの人の力を合わせて本書の刊行にたどり着いたものである。と著者は述べています。 この本は、カール・ロジャーズが行った対談やシンポジウム、文章でのやりとりをまとめた本について述べています。その当時の名高き実存思想家や神学者、行動主義心理学者、科学者、実存主義心理学のリーダーなどの対談の本です。 しかし、ロジャーズは対談全体を通じて聞き役に回り、理解し合える部分を探そうとする姿勢が目立ちます。一方で、他の参加者はしばしばロジャーズを突き放すような態度を示し、特に『我と汝』で有名な実存思想家ブーバーとの対談では、ロジャーズの主張が理解されず、彼の専門性が軽視される場面が見られるそうです。 私は、ロジャーズを神様のように信じていて、信者でありませんので、ロジャーズに対する軽視や対立、別の意見も聴きたいので、この本で別な見方でカウンセリングと何かを見て、視野を広げたいです。