カテゴリ:遊女aosmeの「その他の本」
丸山健二氏の初期の短編小説です。芥川賞を最年少で取った記録を長らく破られなかったという丸山健二氏の初期の短編集です。非常に研ぎ澄まされた、無駄のない文体で書かれ、気持ちの澄んでくるような短編集です。 丸山さんは人が見て見ぬ振りで通り過ぎたくなるような、理不尽な、「人がこの世に生きていくということ」をしっかりと見据えて私たちの目の前に現してくれているように感じます。何故生きるのか?生とは、死とはいったいどのような意味があるのか。一編一編は、この地球上にありふれた、人間が織り成す情景であるように思えるのですが、読み進めていくうちに、心に食い入るように迫ってくるのです。生と死が隣り合わせにあり、人の生き様が赤裸々に語られていきます。 今回の文庫本に解説を書いている茂木健一郎さんの文章の中で、天才は前衛的な試みを一生繰り返していくとありました。丸山氏も、この初期の作品のように流れているテーマは一貫していますが、その表現については、つねに前衛的な新しい試みをし続けている作家とおっしゃいます。この初期の作品群を読んでおくことで、原点をつかんでおくということは丸山氏を理解するうえでとても重要なポイントとなりそうです。隅々まで気合の入った文章を読むと、こちらの身が引き締まります。この次には比較的新しい作品を読んでみたいと考えています。 また、丸山氏の庭の花の写真集も注文してみました。孤高の作家が作る庭。どのように花を表現しているのでしょうね。楽しみです! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2007.05.31 23:55:29
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