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カテゴリ:株式投資
その業界で頂点を極める、ということについてのケーススタディ。
ユニクロvsしまむら この10年、消費低迷とデフレに直撃され、 他業種以上に厳しい経営環境が続いた日本の衣料品小売業。 その中で逆に成長し、ダントツの勝ち組として君臨するのが、 「ファーストリテイリング(ユニクロ)」と「しまむら」です。 いずれも旧弊な既存の流通、小売システムを真っ向から否定し、 独自の道をきわめることによって頂点に上り詰めた専門店界のスター企業。 10年前と比較して、ユニクロは売上で7.5倍。経常利益で16.2倍、 しまむらは売上で2.8倍、経常利益で4.6倍。 ともに「ユニクロ」「しまむら」という単独業態(ブランド)の 圧倒的な強さで業績を伸ばしてきました。 特にしまむらは昨年秋、「しまむら」というたった1業態だけで、 衣料小売業前人未到の1000店舗の大台に乗せました。 (ユニクロは約700店舗) そして両社とも、これら単独業態だけで、 最終的に国内2000店前後の出店を見込んでいます。 しかしこの2社、 同じ「大衆衣料」という商材を扱うチェーン小売業でありながら、 何から何まで正反対のやり方を貫いています。 例えば・・・
ユニクロは有名なのでよく知られていると思いますが、 しまむらは超ローコスト経営で安定成長してきた企業です。 見た目は、単価を下げて客数を伸ばす、という戦略ですが、 そこには坪効率と坪経費低下における絶妙なバランスが取られています。 また、商品1枚単位からの頻繁な店間移動を行っており、 輸送コストは宅配便の1/4といいます。 全てにおいてコストコントロール力が驚異的で、 そしてそれらを支えるシステムが進化し続けている、 これがしまむらの最大の武器です。 そのため、流通業のお手本企業、 「流通業界のトヨタ」などと言われています。 例えば、日経ビジネスに、 「小売りのトヨタ しまむら流」と18頁に亘って特集されたりしています。 ・日経ビジネス[2006年5月22日号] ・日経ビジネスオンライン 「成長しなければ死んだも同然だ」のユニクロ・柳井正。 「すべて自分たちでやるから面白い」のしまむら・藤原秀次郎。 中で面白いと思ったのが、 『一見、都会的で先進的な企業イメージのあるユニクロで、「商売」というどちらかと言えば泥臭い言葉が好んで使われ、逆に田舎立地に強くてややあか抜けないイメージのあるしまむらで、「仕事」「ビジネス」といったクールな表現が主体になることである。』 というところでしょうか。 企業文化を表しているとともに、 人材育成における理念や手法の本質的な違いが集約されていると思います。 「世界のメインプレーヤー」として打って出るユニクロ。 「業界きってのベンチマーキング企業」として進化するしまむら。 しまむらの藤原会長は、ユニクロと自社の違いを問われ、 こう答えています。 「結局、同じことだよ。 富士山を、どちらの側から登るのかの違いでしかないよ。」 全く逆の相似形というわけです。 定性分析をする上で、 これほど面白い題材もないのかもしれません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007/02/12 10:33:51 PM
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