テーマ:愛しき人へ(903)
カテゴリ:重い月
民ちゃんは 長い黒髪を後ろで縛ってたんだ
ワカメちゃんカットの私は それが羨ましくて いつも 触らせてもらってた おとなしくて 優しくて 頭のいい民ちゃんは 頼れる存在だったんだ 男子も ケンカふっかけないから 私のように 暴れたりしない 私の家と 民ちゃんの家も近いし 民ちゃんの家の周りは 松林だったから キノコ狩りしたり 山ブドウ取りにいったり 山芋堀にいったり 季節の遊びを 一緒に楽しんだんだ 初めて 食べさせてもらった レモン 初めて 聞いた 民ちゃんの弾くギター 禁じられた遊び 大きなお姉さん達が いた部屋は 私の憧れだった そんな民ちゃんは 東京に就職したから 会ったのは 20才の成人式の日だった 私は その日は成人式には いかず 学校に行ってた。 着物を こっそりこしらえてた母ちゃんが 私の晴れ着の写真を 撮りたいと 嫌がる私を 捕まえて 夕方 着せ付けて写真撮った時 家の前で 民ちゃんに会った その時 写真を一緒に撮った 民ちゃんとは それっきり 年賀だけの付き合いになったけど いつか 会おうね は お互いの合言葉だったんだ 民ちゃんの娘ちゃんから 喪中欠礼の御手紙が来た 娘さんの成人式に少し悲しそうな顔で 写ってる民ちゃん 庭の桜を見ながら 天国に旅立ったと 書かれていた。 民ちゃん 私は悲しいよ~ もう一度 会いたい お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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