悲しいねえ
民ちゃんは 長い黒髪を後ろで縛ってたんだワカメちゃんカットの私は それが羨ましくていつも 触らせてもらってたおとなしくて 優しくて 頭のいい民ちゃんは頼れる存在だったんだ男子も ケンカふっかけないから私のように 暴れたりしない私の家と 民ちゃんの家も近いし 民ちゃんの家の周りは松林だったから キノコ狩りしたり 山ブドウ取りにいったり山芋堀にいったり季節の遊びを 一緒に楽しんだんだ初めて 食べさせてもらった レモン初めて 聞いた 民ちゃんの弾くギター 禁じられた遊び大きなお姉さん達が いた部屋は 私の憧れだったそんな民ちゃんは 東京に就職したから会ったのは 20才の成人式の日だった私は その日は成人式には いかず 学校に行ってた。着物を こっそりこしらえてた母ちゃんが 私の晴れ着の写真を撮りたいと 嫌がる私を 捕まえて 夕方 着せ付けて写真撮った時家の前で 民ちゃんに会ったその時 写真を一緒に撮った民ちゃんとは それっきり年賀だけの付き合いになったけどいつか 会おうね は お互いの合言葉だったんだ 民ちゃんの娘ちゃんから 喪中欠礼の御手紙が来た 娘さんの成人式に少し悲しそうな顔で 写ってる民ちゃん 庭の桜を見ながら 天国に旅立ったと 書かれていた。民ちゃん 私は悲しいよ~もう一度 会いたい