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テクニックはあるがハートの込もっていない演奏と、
テクニックは今ひとつだけど、
凄く心の込もった演奏とではどちらが聴く人の感動を誘うのか…
と言えば、それは後者。
しかし、そもそも、そのテクニックというものは何なのか?
私の担当するロックギターに限って言うと、
速いフレーズがスムーズに弾ける=テクニックがある…にはならない。
ひと言でテクニックといってもそれは広い意味を含んでいて、
速弾きフレーズはその一部。
血気盛んな若いギタリストは、それ一辺倒に走る傾向がままあるが、
スライドやビブラート、チョーキング…等 、
ギタープレイには、他に欠かせないテクニックは数多くある。
これらの基本的テクニックを軽視するアマチュアギタリストは多いが、
ここがしっかり出来ていないとそのプレイは上手くは聴こえない。
アンサンブルに例えると、ヘタッピィなドラムとベースに、
上手いギターが乗っかっているようなもの…
ギター単体でも同じこと。
土台のテクニックを基軸にして全体的なバランスを保つのが、
上手いギタリストの条件。
ピッチの揺れの波が均一化されたビブラート、
特にノートオフする瞬間のビブラートの指さばきや、
微妙なニュアンスのスライドなどはとても難しく、
キャリアの浅いギタリストには至難の技かも知れない。
この辺りは、年季がモノを言うテクニックだろうか…
しかし、この大切なテクニックも、
アーティストの魂を表現する手段に過ぎない…
プレイヤーの演奏が聴衆をノックアウトするのは、本当は技術力ではなく、
その力を借りて放出されるプレイヤーのエナジーそのものなのだ。
それが解っているかどうか…
平均的に言って、プロとアマの決定的な違いはここにあると私は思う。
そこをよく理解した上で練習を積み重ねていけば、
2年後3年後の結果は大きく変わってくるだろう。
そんな練習法はないものか?…
私の経験から少しだけ紹介すると…
リラックスする、マンネリズムの排除、事前に気分を高めておく…
などは当たり前で、
このうちのひとつが欠けても練習の成果は満足のいくものにはならない。
いわゆる「精神統一」をする…
これを高いレベルでキープするのは容易ではないが、常にそうでありたい。
技術面からのアプローチもある…
良い音が鳴れば、気分は自然に高揚する。
それを利用する。
例えば、MEDIUMやTHINのような比較的柔らかめのピックをチョイスする。
それをある程度使って、3辺に適度な凹凸をつくる。
そして、それをリードソロに使う。
持ち方は普通でいいが、ピックがしなるくらいかなり強めにグリップする。
ポイントはここから。
ピックはピッキングした時に3つの角の方ではなく、
3つの辺のひとつが弦に平行に当たるように持つ。
そして、ピッキングは全てアップピッキング。
これで、削れたピックの辺で弦を微妙に擦るようにかき上げる…
これにより薄いピッキングハーモニックスがかかったような、
とても気持ちのいい音が出る。
もちろんアップピッキングオンリーだからは速弾きには使えないが、
これは出音から気分を高揚させる、私がよくやるギター奏法…
この他、ビブラートやスライドなどにも、
渋味を出し気分を高める練習法はたくさんあるが、
ここでは割愛させていただく。
とにかく、いつも創意工夫をして、
少しでも効率のいいトレーニングを心がけたいものだ。
技術とマインドの関係は密接で、切っても切れないものだか、
先導するものは「ミュージシャン魂」…これを夢にも忘れてはならない。