カテゴリ:デモ
http://jp.myspace.com/munakata(新曲公開中)
念願の曲が、ようやく完成した。 きっかけは、romiからのメール。
取るに足らない不要なアクセスを避けるため、 募集記事のハードルをグンと高めていた。 「ここまで書けば、誰も連絡はしてこないだろう…」と思うほどに。
まったくあてにはしていなかったので、 受信メールのチェックは数日に一度。 だが、そんな想いもよそに、1通のメールが届いていた。 内容を確認するまでもなく、ただ者ではないと直感した。 あの募集記事に反応してくるくらいだから…
あわてて着信日時を確認すると、前日だったのでホッとした。 その高いハードルを楽々と越えてくる文面には、 詳しいプロフィールやデモ音源紹介などはもちろん、 本名や電話番号、メールアドレスなども克明に記されてあった。 この私が、どこの馬の骨かも全く解らない時点にだ。
私は、まずその潔さに強く心をひかれた。 ピンポンダッシュしかできないような卑怯者が 大半を占めるネットサイトの中にあって、 彼女は希に見る、本当に真っ直ぐで誠実な人だった。
デモを聴いてみた… 「うん、申し分ない」 歌の仕事をしている…とあったので、 かなりのレベルと予測したが、その通りだった。
早速、返信をした。 実は彼女、東京在住の人。 なのになぜ私のところに連絡をしてきたのか… それが腑に落ちなかったが、 メールや電話で連絡を密にしているうちに、 その疑問は氷解していった。
互いのスキルをチェックして、コラボの話が成立。
次に、レコーディング曲の選定。 話し合った結果、私の一押しの曲を唄ってくれることに…
いわく因縁のこの曲。 作ったのが、もう8~9年くらい前。 仮タイトルは「Ten」 その昔、同タイトルの映画があった。 私はその映画を見ていないし、まったく興味もなかったが、 評論家の一言が耳に残っていた。 「満点を10(点)にすると、それに匹敵するほどのずば抜けた美人」 そんな感じだったかな… だから、Ten… 私の中のベスト曲→Tenになった。
当時…バンドでこの曲を唄うべく歌手がいて、 その為に作ったのだが、そいつとはすぐに縁を切った。 でも、曲はとても大切にしていたので、 ずっと心の中で暖めていたのだ。
それから長い年月が過ぎた。 ずっとインストの曲ばかりを作っていたのだが、 それに限界を感じていたので、 2010年にボーカリストとのコラボレーションをスタートさせた。 もちろん、一番やりたかったのがこの曲。 募集記事にも、それを記載した。
メロディからイメージされる世界はこれしかない…と、 歌詞も私が書いた。 タイトルは「追憶」 (死んでしまった恋人を偲ぶ悲しい女心…これがテーマ)
たくさんの歌手が応募してきたが、 この曲を歌える人はひとりもいなかった。
それから2年余り… 数人の歌手とのコラボをすでに終えていたある日、 romiからの連絡があったのだ。 私は、彼女ならこの曲を唄いこなしてくれると確信したので、 その旨を伝えたら快く承諾してくれた。
次に歌詞の問題があった。 私は、歌詞は歌い手本人が書くべきと常々思っているので、 自分の書いた詞に執着はあったものの、新たに作詞を依頼した。 でもromiは「オリジナルの歌詞をまず見せてほしい」と言ったので、 そうしたところ、そのまま唄うことを希望してくれた。 私の想い描く世界に、共感してくれたことが嬉しかった。
できる人は、無駄な動きをしない。 とかく注文をつける人間というのは、 結局たいした能力を持ち合わせていないものだ。 互いのスキルの領域や差異を客観視できない 小さな器とでも言おうか…
解っている人は大局を見極める目を持っているので、 必要最小限のことしか口にしない。 私の経験上、どうもそういう傾向が強い。
ともあれ、 初めてのコールからレコーディングに至るまでは、とても早かった。 romiは、仮歌のデータをどんどん送ってきてくれた。 私の意図を本当によく汲み取ってくれたので、 歌そのものに注文をつけることは殆どなかったし、 時折出す些細な要望にも実に素直に応えてくれた。
そんな感じのリハーサルはトントン拍子に進み、 本番のRECは12月に決行する運びとなった。
その1ヶ月前、レコーディングをする前に 一度会っておいた方がいいと思い、私は東京まで行った。 わずか3時間程度の語らいだったが、 事前に良いコミュニケーションが図れたと思う。
2012年12月16日。 早朝の新幹線でromiがアトリエに到着。 レコーディングは坦々と進み、午後には無事に終了。 打ち上げと、今後に関する軽いミーティングを行って、解散した。
録りは終わったので、あとはミックス。 多忙な仕事の隙間を縫うように少しずつ作業を進めていった。 アレンジのイメージは、ジョン・レノンの「ラヴ」
より慎重に、より緻密に…今までにない奥の深い音作りを心がけた。 しかし、途中でメインシステムの一部に不具合が生じた為、 その後の作業はサブシステムへの切り替えを余儀なくされた。
音源の質やバウンスの壁に阻まれながらも、 最終的にはまずまずのサウンドに仕上がってくれたと思う。 怪我の巧妙と言うべきか… メインシステムが使えなくなったことで、 かえって意外な質感が得られた事が、思いがけない収穫だった。
今ここに…ずっと想い描いてきた曲が形になって、 とても感慨深いものがある。 協力してくれた仲間に、本当に心から感謝したい。
「追憶」は、私の夢が宿る曲… 微かに見える光に向かって、発信していきたい…
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Last updated
2013.03.10 22:50:40
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